女王ニミュエの転移魔法によって一人だけ助かったランスロットは隣国ヘキサゴンに飛ばされ、妖精族と知己の仲であるとある領主によって保護された。
事情を知った領主は手厚くランスロットをもてなしたが、彼の心は既に囚われていた。
「復讐」という、闇に。
一式の装備と豊富な路銀を与えてくれた領主に心から感謝の意を示したランスロットは、その後各地を旅して冒険の数々をこなしていく。
自らの戦闘レベルとはかけ離れた危険の多い依頼ばかりを受け、凶悪なモンスターや盗賊団を次々と成敗していった。
何度も死にかけ、血まみれになりながらも格上の相手と戦い続けた彼は膨大な経験値を得てわずか一年足らずでレベル35を超える猛者へと成った。
類いまれな強さを持ちヘキサゴンのそこらの美女よりも美しく気品のあるランスロットは、瞬く間に有名になった。
女性からの黄色い声援は当然のように―その体から醸し出される色気は同性からも惹かれ、民衆の間で彼を支持する団体まで作られるようになったが、ランスロットにはどうでもよかった。
すべては女王や妖精族を救うため。
そして、自らを辱めたファティマを倒し誇りを取り戻すため。
夜な夜なファティマに仕込まれた淫毒が下半身を蝕み自慰に溺れたくなるが、魔に屈するものかと精神力で体の火照りと疼きを押さえ込み復讐心へと換えて蓄積していった。
レベル40を超えた頃、ランスロットは街の市場でとある巨大な剣を喧伝する商人を目撃する。
興味深そうに聞き入る民衆たちにその商人は「この剣は妖精族の女王が魔法を込めた剣だ」と述べる。
それは本来であれば旅立つ日にニミュエがランスロットに授けるはずだった巨剣「アロンダイト」だった。
ランスロットは激昂し商人の胸倉を掴み、なぜお前がその剣を持っているのだと問い詰めた。
既に国中でその武勇と美貌を知られていたランスロットに掴みかかれると、商人は過剰なほどに震えて失禁しそうになるが、助かりたい一心で「淫魔族の女商魔から買い取ったものだ」と言うこと、その女商魔は妖精族の城から略奪された物資を異世界の双成種から仕入れたと言っていたことを告げる。
かすかではあるが探し続けていた双成種の手がかりを得たランスロットは冷静さを取り戻すと、商人から女商魔の行き先を尋ねると今までの冒険で得た金銀財宝をすべて商人に渡してアロンダイトを買い取った。
目的のためなら、金などいくら使ってもいいのだ。
さらに旅を重ね、道中でランスロットは村一つを滅ぼしたこともあるという竜の噂を聞く。
妖精族総出の魔法により刃こぼれ一つしないというアロンダイトの強さを確かめるため、ランスロットは無謀にも竜退治という依頼を受ける。
依頼人ですら単身では無理だ、と何度も止めるがランスロットは聞き入れずたった一人で竜の潜む炎の洞窟へ挑む。
そして丸一日続いた激戦の末、ランスロットは単身での竜退治という偉業をも成し遂げたのだ。
そして、さらにさらに旅を続け「門」をくぐり数多の異世界を巡った末、ようやくこの迷宮に辿り着いたのだった。
全ては、双成種ファティマを倒すためにーー
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(※体験版はここまでです。本編の発売を楽しみにお待ち下さい!)