光悦は菫子への攻めを再開させた。秘所へと指が伸びていく。もはや何の遠慮をする気もないようだ。若草のように控えめな陰毛に隠れた秘所に再び指が伸び、もう片方の手も脇腹をそぉっと、憎たらしいほど優しく撫で回す。
「んっ、ふぅっ……」
菫子の口からは甘い声が漏れる。鼻から漏れ出る湿った息が熱を帯びているのが自分でもわかる。ぐちゅりと音がなる。菫子の秘所が湿り気を帯びている。男の指は、そこをぐちゅぐちゅと、穴に指を入れないながらもわざと音を鳴らすように執拗に刺激してくる。それがどうしようもなく憎たらしかった。菫子は口内の飴玉をこぼれ出さぬよう舌で押さえる。
「ふふふ、いい音ですねえ」
光悦は菫子が反駁できないのをよいことに、言葉で責めてくる。指、指だけでこれほどまでに心地よさを見せつけることができるのだろうか。その技は熟練の域にあり、優しく、ときには激しく。慣れさせることのない技の数々を見せる。そのたびに秘所は熱くぬめり、耐えがたいもどかしさを菫子に感じさせた。太ももが何かを求めるようにもじもじと擦り合わされる。だが指だけで終わらせる気はないようだ。光悦は長く舌を伸ばしざらざらと舌でゆっくりと菫子の秘裂を舐めとった。
「ふふふ、さらさらして少ししょっぱくて、とても美味な味ですよ」
味の感想を述べる。菫子の内心に怒りと苛立ちが浮かぶ。だがそれすら光悦の狙いなのだろう。光悦はにやにやと笑うと責めを再開させた。光悦が手を動かし、舌が踊るたびに菫子の固く閉じた唇が震え、成長途中のみずみずしい肉体が痙攣した。とても気持ちが良い、だが受け入れがたい感覚が肉体の中で踊り回る。

時間がとても長いものに思える。ぐちゅぐちゅと水音が響き、ぞわぞわとした感覚が背骨を通り抜けていく。あの砂時計は本当に10分で落ちきるのだろうか。イカサマがされていたら? だが、いまや菫子には選択の余地などない。この部屋に公正なレフェリーなどいないのだ。そんな考えを弄んでいる間にも光悦の無骨な指は菫子の乳房の頂点を二本の指の腹でしごきあげてくる。へその下あたりが心地よさげに疼くのを感じる。脚がビクビクと痙攣し、何かを求めるように足の指が丸められる。思わず声が漏れそうになり、口を閉じた。飴玉が口の中で暴れる。

菫子の意識が口の中にある間に光悦はますます調子に乗っているように思えた。覆いかぶさるようにして口を首筋に這わせる。ついばみ、噛み、吸い上げる。そのたびにぞわぞわとした感覚が高まっていくのを感じる。白い喉元を、光悦の舌が這い回り、ときには甘噛みする。それすらも心地よい。体の押さえが効かなくなり、気持ちよさそうに目を細めながらのけぞってしまう。耳たぶを甘噛みし、耳を舐めあげ、ついには耳の穴に舌をねじ込みぐちゅぐちゅと下品な音を立てながら舌で耳と聴覚を犯す。抗議の声をあげたいが、そんなことをすれば飴玉は飛び出してしまう。そうしている間にも光悦の指は今まで他人に触られたことなどなかった秘貝とその上の肉真珠を優しく、時には激しく愛撫する。せめてもの抵抗として太ももを閉じようとするが、光悦の指は構わずに太ももの間へと潜り込み、こじ開け、我が物顔で暴れまわる。

肉真珠をとんとんと叩くようにリズミカルな刺激を与えたと思えば二本の指の谷間でこすりあげるような刺激を与えてくる。気持ち良い。もし認めて良いのであればそう素直に認められたであろう。間違いなく、それは菫子の官能を効果的に掘り起こしていた。おそらく何人もの女を泣かせてきたであろう光悦の手管を、快楽を知らぬ清らかな乙女であった菫子に耐えろというのは無理な話であった。しかし、それを気丈な菫子の理性は否定する。こんな男に屈服するくらいなら、死んでしまった方がマシだ。菫子は心の底からそう思っていた。しかし菫子がどう思おうと、男のテクニックの前に菫子の若い女の肉体は敏感に反応しつつあった。光悦の手が脇腹のあたりを優しくなでれば心地よい何かが内側から湧き上がってくる。ごつい掌が胸をやわやわと揉みしだき、むにゅり、くにゅりと心地よい圧力を与えればじんじんと秘所に熱い何かが染み出してくる錯覚を感じる。秘裂をこすりあげる指はくちっ、くちっ、と卑猥な水音を響き渡らせるが、そのたびに自分の中で何かが大きくなってくるのを感じた。自分が浮き上がるような不思議な錯覚。菫子はそれが何か知っていた。若い健康な思春期の少女である菫子は、性欲を抑えられずそれを処理するために、夜ベッドの中で火照った体を自ら慰めたことがある。おくびにも外に出しはしないが、それはほぼ習慣化していた。
「自慰は自分でしたことがあるんでしょう?」
光悦はそれをめざとく見抜いたようだ。菫子に声をかけてきた。菫子はぷいと顔ごとそらす。
「オナニー、と言わないとわからないですか?」
光悦の言葉には若干のからかいがあった。光悦はそれ以上声をかけず、かわりに責め方をさらに激しいものにする。
「んっ、くぅっ……」
菫子は思わず腰を浮かせてしまう。秘所から溢れ出す淫らな蜜は、光悦の指にべっとりとまとわりつき、白い太ももに小川を作りつつあった。これでは感じていることは明白だ。形のよい乳房の先端を光悦の指が無遠慮にコリコリと弄ぶ。痛みはないが、呼吸と鼓動が激しくなるのを感じる。陰核をいじりながら若草のような薄い陰毛をかき分け、秘裂をまさぐる指が早くなり、水音は大きくなるばかりだ。菫子は自分が限界に近づきつつあるのを感じた。
光悦の責め方は最初の控えめさなど嘘のように大胆に菫子の急所を責める。陰核をノックするように指の腹で叩き、触れるか触れないかの距離でさすりながら、今度はぐにぐにと親指で刺激を伝える。胸を責めるもう片方の手の動きは、肉をもみしだき、まさぐり、そして乳首をくにくにと優しく、強弱をつけてマッサージする。菫子は自分に余裕がなくなっていくのを感じた。
「こういうのが、よいのでしょう?」
すべてを見透かしたように光悦が笑う。光悦の責め方が激しさを増すたびに声が大きくなる。ついには腰が浮き、卑猥なダンスを踊ってしまう。なんと言い訳しようと、感じているのは明白だった。光悦は明らかにそれを楽しんでいた。太ももを何度も口で責めたてる。唇が横にすべり、陰唇を包み込むように大きく口を開け、吸いつく。菫子の腰は不自然な痙攣をし始めるが、そんなことにかまうことなく光悦の舌が中へと入り込み、中を綺麗に舐め清めていく。その刺激すら、菫子にとってはたまらなかった。ゾクゾクとした刺激が腰の奥から湧き上がるのを感じる。光悦の思うままに自分は昂らされている。そんなことは分かっている。だが、もう制御の利かなくなった肉体は快楽を貪欲に求めているのだ。
今の我慢の利かなくなった肉体の中でくすぶる肉欲の炎でとろとろと炙られ続けた菫子は、太ももの内側を舐められれば甘い声をあげ、胸をやわやわとまさぐられれば鼻にかかった声が漏れる。秘所を舌で舐められれば腰を浮かせる。これではどう感じていないと言い張ったところで、どんな馬鹿でも信じはしないだろう。
菫子の高まる性感ははいよいよ限界に近付きつつあった。もし絶頂を迎えてしまったら、女の快楽の頂点の前にはどんな自制もききはしないだろう。そうなったら、叫んでしまう、それだけはだめだ、それだけは。だがもう止まりはしない。下り坂に入りスピードのついたダンプでどれだけ必死にブレーキを踏んだところで、もはや手遅れなのだ。内部に澱のように溜まった性感は爆発のときを待ち遠しげに待ち構えてている。光悦はそれを知ってか知らずか、菫子の陰核にとどめを刺すように激しい刺激を加える。形のうつくしいぷるんと張った乳房の頂点への巧みすぎる愛撫は、女性という楽器を奏でているようだった。やがて快楽の波動が菫子の中で混ざり合い、反響し、それらが相乗効果を発揮しひとつの大きな波となっていく。もはや耐えられない。それは理性の堤防を越えようとしていた。すべてを見通したように光悦は、乳首と陰核を、思い切りひねり上げる。
菫子はたまらず無防備に喉を晒した。開かれた口からは、甘くとろけた声と白旗のように赤い舌が飛び出す。恥ずかしいとかそういった思いを感じる余裕すらなかった。肩が上下する。頭がくるくる回っている気がする。それでも理性の最後の抵抗としてかろうじて絶頂を抑え込むことはできた。だが。光悦の視線はシーツの上に転がるものに据えられていた。