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第九話 触手男の復讐、堕ちたお嬢様



「この人、痴漢です!」
 電車内にその声は響いた。
 だれもが反射的にそちらを見る。
 ボクもゆっくりと振り返る。
 そこそこに混んでいる朝の車内。
 叫んだのは誰なのか一目でわかった。
 制服姿の女の子だ。
 セミロングヘアの気が強そうな美人である。
 着ている白いブレザーの制服は、どこかのお嬢様学園のものだろうか。
 こんな可愛い女の子に痴漢するなんて酷い。
 ……と、その時、ボクは思った。
 そう、つまり、騒ぎの外にいると考えていたのである。
「この人、痴漢です!」
 女の子はもう一度叫ぶ。
 指さした先にいるのは……誰であろう、このボクだった。
「ええっ!?」
 驚愕するボク。
「死ね、痴漢!」
 すさまじい目でにらまれる。殺されそうな眼力がそこには込められていた。
 周囲がざわつく。
 眉をひそめてボクを見る人たち。
「ち、違う、ボクは痴漢なんかじゃ……」
 必死に否定する。
 だが、車内にボクを信じる雰囲気はない。
 みんな犯罪者と決めてかかっている。
 冷たい視線。
 そして女の子の熱い視線。
「触ったでしょ、私のお尻! 最低!」
 と、間近で怒鳴られる。
「で、でも、ボ、ボクの手はここにあるんだけど」
 ボクは右手を挙げた。スポーツ新聞が握られている。
 そして左手はといえば……つり革にある。
 つまり両手がふさがっているのだ。
 これでは痴漢なんてしようがない。
「嘘よ、あんたでしょ!」
 女の子は叫ぶ。
 ボクの言うことなんて聞いてなかった。
「あの、これが当たったのでは……」
 と、言い出したのはその場に居合わせたOLさんだった。
 彼女は布の袋を下げていた。
 ちょうどお尻にあたるような位置と大きさだった。
 ……誤解だ。痴漢ではない。
 そういう空気が車内に生まれた。
 ボクの容疑が晴れていくのが肌でわかる。
 これで騒ぎは終わりだった。乗客のみなさんは、携帯をいじったり、本を読んだりに戻る。
 まだボクを疑ってるのは一人だけだった。
「あんたが触ったのよ!」
 白いブレザー制服の女の子。
 おそらく……彼女もボクが犯人ではないと気づいているんじゃないかと思う。でも、一度声をあげてしまったものだから、もう引っ込みがつかない、そんなところだろうか。
「だからボクは痴漢じゃないと……」
 改めて否定する。
 そもそも、本物の痴漢はこんな気の強そうな女の子を狙わないんじゃないだろうか。
 たしかに、触りたくなるような、よく育った身体をしているけど……。
「うるさい、死ね!」
 女の子は狭い車内で鞄を振り回した。
「ぎゃっ!」
 その角がボクの頭を直撃する。
 すさまじい衝撃。
 教科書の詰まった鞄は重かった。
 衝撃の後、一拍おいて、鈍痛が襲ってくる。
「ふん」
 駅に着いた。
 痴漢被害者から暴行加害者に成り下がったその子は電車を降りていく。
 まだ怒っているのが、どすどすという歩き方でわかる。
 ボクは頭を押さえる。
 殴られた部分から少し血が出ていた。
 ……本来なら、ボクは気の小さい男である。
 痴漢に間違えられたって、殴られたって、文句ひとつ言えないような、泣き寝入り体質の男であるはずだった。
 でも……

 どくん

 ボクの奥底で黒いものがざわめく。
 抑えきれない。
 それは、鼓動と傷口の熱さに連動し、どんどん大きくなっていく。
 人間を超えた獣の野生と衝動。
 ボクは人間であるが、ボクの中には人間でない何かが住んでいる。
 それを彼女は呼び起こしてしまったのだ。
 電車が出発する。
 揺れる車内は、先ほどまでの騒ぎがリセットされ、実に静かだった。
 しかしそんなことはまったく気にならない。
 一つの衝動が完全にボクを支配していた。

   ▼

 調べると、あの女の子の学校はすぐわかった。
 いつも利用している電車の沿線に所在する名門女子校である。
 探す決め手となったのが、特徴的な白いブレザーだ。
 ゴージャスでお嬢様っぽい雰囲気を与えるこの制服は、女の子が選ぶ人気制服ランキングの上位常連ということだった。
 そして、制服の人気だけでなく、受験偏差値の方も常に上位を争っているとのことだ。
 派手な外見とは裏腹に、文武両道を目指す、お堅い学校のようなのだ。
 調べを終えたボクは、朝の通学路を見張ることにした。
 白いブレザーの少女たちが目の前の通り過ぎていく。
 愛しい彼女を見つけたのは、それからすぐだ。
 いた。
 友人と楽しそうに会話しながら歩いている。
 ころころと表情を変え、友人に笑いかける。ずいぶんと明るい子のようだ。ボクには怒った顔しか見せなかったけど……
「七海、帰りどこかに寄ってかない?」
 会話を盗み聞きする。
「ごめん、今日は部活があるから」
 などと答える。
 名前は……「七海(ななみ)さん」か。
 話の続きを聞くと、彼女は新体操部所属で、来月、重要な大会があるようだ。ここしばらくは遅くまで練習しているらしい。
「頑張ってね、部長さん」
 と、七海さんは友人に肩を叩かれた。
 このお友達もロングヘアのクールな美人だが、それはともかく、二人は校門から学校の中へと入っていった。
 新体操部の部長か……
 ボクはいったん退散し、下校の時間まで待つことにした。

「お疲れさまです、部長」
「七海先輩、さようなら」
 夕方を超え、夜に足を踏み入れている時間帯。
 校門前に、新体操部と思わしき女子の集団がある。
 その中心にいるのが、セミロングヘアの七海さんだ。
 ずいぶんと後輩に慕われているらしい。
 七海さんは後輩たちに笑顔で手を振り、一人で駅の方に歩き始める。
 あたりに人影はなかった。放課後と呼ばれる時間帯が過ぎてしまうと、学校のまわりは静かになってしまうもののようだ。
 ボクは彼女の前に現れ、進路をふさいだ。
 七海さんは一瞬驚いたようだ。
 ぴくりと足を止め、ボクを見る。
「あんた、たしか……このあいだ電車にいた痴漢?」
「痴漢じゃないよ」
 と、答えてやる。
 今はストーカーじみたことをしているが、電車にいたボクは絶対に痴漢ではなかった。
「何の用よ!」
 すごい目でボクをにらみつける。
「うっ……」
 あまりの迫力に後ずさりしてしまう。
 しかし、ずきんと痛む頭がボクを叱咤する。
「これを謝ってもらおうと思って」
 と、ボクは絆創膏越しに傷にふれる。
「はあ? 何であたしが謝らないとならないワケ!? そもそもあんたが変質者顔だから痴漢と間違えるんでしょ!」
 怒鳴る七海さん。
 ひどい言われようだった。
 でも七海さんは痴漢と間違えたと認めているわけである。
「七海さんは……ボクを痴漢と間違えた。そこまではかまわない。間違いなんて誰にでもあるものだからだ」
 ボクはいったん言葉を句切り、
「でも、七海さんは……間違いを認めて謝るどころか、逆ギレして暴力をふるって怪我させた。これって最低の人間のやることだと思わない?」
「しっ、しらないわよ!」
 七海さんは叫ぶ。
 あの時と同じだった。電車内でも七海さんは怒ってごまかそうとした。

 ぞわり

 ボクの中で何かが目覚めた。
 どす黒い欲望が己の奥底からわき上がってくる。
 それは自分の意志では止められるはずのないものだった。
「な、なにあんた……」
 雰囲気の変化に七海さんも気づいたようだった。
 おびえたように一歩後ずさる。
「七海さんは何の罪もないボクを傷つけた。死ぬような傷じゃなかったけど、ちょっとだけ血が出た。だからボクもそうしようと思う」
 それは出現した。
 ぬるぬるとぬめる長いもの。
 外灯の光を反射し、ぎらぎら光っている。
 ボクの舌のひとつ。
 舌型触手だ。
「ひっ……」
 尋常ならざるそれを見て七海さんは悲鳴を上げようとした。
「んぐっ!」
 触手を口に突っ込む。
 七海さんの舌を発見。強引にかき回す。
 ディープキスしているようなものだ。
 触手を前後させ、七海さんの舌と唇の感触を味わう。
 口を犯されながらボクをふりほどこうとする七海さん。
 しかしボクは、さらなる触手を数本、虚空から出現させた。
 これはボクの腕や脚に相当するものだ。
 七海さんの両手両足を縛って拘束する。
「んー! んー!」
 すごい力で七海さんが暴れる。暴れすぎて肩が外れてしまいそうなほどだ。
 しかし触手のほうが力が圧倒的に強い。
 ボクは肩や腰までを抑えつける。
「んー!」
 鼻から高い悲鳴が抜けていく。
 ボクは化け物である。
 触手の生えた化け物だ。
 いや一応人間なのだが、心の奥底に触手が住んでおり、たまにそれがこうして出現してしまう。
 触手の目的はただひとつ。
 欲望をはき出すことである。
 七海さんのスカートの中に手の触手を入れる。
 触手を通してボクはスカートの中を見ることが出来た。
 パンツは、黒をベースにピンクの花柄やレースが付いたものだ。大人っぽい部分と少女らしさを組み合わせた、七海さんらしい下着だ。
 七海さんのお尻を触手でなでまわす。
「んーっ!!」
 新体操で鍛えているだけあって、引き締まっていて張りがある。
「なるほど、実際に痴漢したらこんな感じか……」
 もし本当に痴漢するとしたら、こういう弾力性があって触りがいのあるお尻に触りたいものだった。
「どう、これが本物の痴漢だよ」
 と、七海さんにささやきかける。
 ボクの意識は完全に触手と一体化している。
 身体の感覚が希薄で、ほとんどない。身体自体が消えているのかもしれない。
 この声も触手から出ているようだった。
「んくっ」
 七海さんの抵抗が小さいものとなっている。
 ボクは口から舌の触手を引き抜く。
 ふたりの唾液が糸を引く。
「力が入らない……何したの……」
 七海さんのほおがピンク色になっている。
「うん、ボクの唾液にはいろんな効果があるみたいなんだ」
 ボクは言いながら、腕の触手で胸のブラウスのボタンを二個はずす。
 ブラジャーは色気のないベージュだった。
「なにこれ。パンツともあってないし」
「か、関係ないでしょ……」
 強気に出ながらも恥ずかしそうな七海さん。
「離しなさいよ」
 そういうわけにはいかない。
 ボクは舌をふたつに割る。
「ひっ」
 七海さんは気持ち悪いそれを見てびびったようだ。
 舌の触手を胸元から中に入れる。
 目的地はもちろん七海さんの乳首である。
 ブラジャーの上からなのでわかりづらいが七海さんの胸は、手に収まるほどの大きさだった。
 鎖骨あたりをなめつつ、ブラのカップの中に進入。
 甘い突端を探り当てる。
「んんっ!」
 肩をぎゅっと縮める七海さん。
 乳首は固く尖っていた。
 ちゅるちゅるとなめて味わう。
「はうっ、はあああ……」
 ぞくぞくっと新体操部の部長さんは身体をふるわせた。
 ボクは二本目の舌触手を出して、太ももをなめまわす。部活の後でシャワーを浴びたらしくすべすべしている。肌の味しかしない。
 お尻を触っていた触手を前のほうに持っていく。
「やっ、そこはだめっ!!」
 七海さんが目の色を変える。
「え? どこらへんが?」
 くにくにと股間をまさぐる。
「やあああっ!」
 七海さんは前屈みになり内股になってしまう。
 ボクは触手を動かし彼女の身体を宙に持ち上げた。
 大きく股を開かせる。
 ぷっくりとした恥丘があらわになる。
「あっ、あああ……」
 すごく恥ずかしそうで、すごく嫌そうな七海さん。
「やめて、だめ、お願い……」
 と、懇願する。
 ボクはやわらかい恥丘をぷにぷにとさする。
「んくっ……」
 賢明にこらえる七海さん。
「はうっ、あひっ、ひゃあ……あっ」
 しかし気持ちよさそうな声が出てしまう。
「どう、パンツの上からこすられると気持ちいい?」
「ひっ、んっ、はあ……」
 しかし返事はない。
 七海さんは目を閉じて吐息を漏らすだけだ。
「どうなの? ボクみたいな変態触手におまんこいじられて気持ちいいの?」
「いやなのに……気持ちいい」
 半泣きになりながら、本音を漏らしてしまう。
 彼女はいまボクの唾液の作用により感じやすくなり、そして自我を縛る神経の一部がゆるんでいる。
「そっか。おまんこ見てもいい?」
「だっ……」
 ボクはパンツの股間の部分を横に引っ張る。
 七海さんの大事なところはだらしなく半分開きかけ、よだれを垂らしていた。
「ふーん、七海さんは普段偉そうにしてるくせにこんないやらしいおまんこしてるんだ」
「ひあああ……」
 と、悲鳴混じりの泣き声。
「七海さんはおまんこなめられたことある?」
「あ、あるわけないでしょ」
 屈辱の顔で答える。
「じゃあ処女なんだ」
 と、ボクはとぼける。
 七海さんが処女なんてとっくにわかっていた。
 そうでなければボクの触手は反応しない。
「なめてあげるね」
 ボクは太ももに巻き付いた舌の触手を伸ばす。
「やっ、ああああっ!!」
 拒否の言葉は、割れ目に舌を突っ込んだとたん、絶叫に変わった。
 ぬめぬめと舌を上下に動かす。
 舌先に酸味と塩気を感じる。
 だれも触れたことのない美少女の汚い性器はおいしかった。
 べちょべちょべちょべちょべちょ
 必死になめてしまう。
「あっああああああ」
 七海さんは耐えられないように声を出す。
 舌を倒して、陰唇の中からクリトリスまで同時になめる。
「あああああああっ!!!」
 ほとんど絶叫する七海さん。
「――――!!!」
 そのまま思いっきり身体をそらして痙攣する。
 どうやらイってしまったようだった。
 これまでオナニー等で達したこともないのだろう。
 まさか、こんな路上で気持ち悪い触手に襲われて初めての絶頂を迎えるなんて思ってもみなかったに違いない。
「うひぃ……はふ……」
 イき終わった七海さんの顔はぐちゃぐちゃになっている。
 美人の泣き顔だ。
「気持ちよかった?」
「……ぐすっ」
 我を忘れて、ボクの言うことなど頭に入ってないようだ。
「じゃあ、こっちも気持ちよくさせてもらうね」
 と、ボクはそれを取り出す。
 長い触手。その先に亀頭がついている。
 尿道口から垂れ流される我慢汁。
 もちろんのことこれはボクのオチンチン。男性器型触手だ。
「ひっ」
 あまりのグロテスクさに、七海さんは恐怖に固まる。
「血が出るだろうけどそれはおあいこだから」
 ボクは処女の膣口に触手を押しつける。
 唾液、愛液、カウパー液でぬるぬるする。
「やっ、やああああああ!」
 七海さんは嫌がるが触手にがっちりつかまれ、M字開脚させられてなすすべがない。
 ずちゅっ
 男性器型触手が膣を広げていく。
「あああああああ!」
 絶望の絶叫。
 ずちゅちゅっ
 処女は固く入り口を閉ざし、侵入者を阻むが、混合潤滑液の力を借りて中に押し入っていく。
 ずちゅん
 触手が止まる。
 奥まで入ったのだ。
「――!!」
 七海さんの声にならない叫びだった。
「入った……よ」
 ボクは声を弾ませる。
 七海さんのおまんこを犯す。
 ボクはここ数日そればかりを考えていたのだ。
 たったいま念願が達成された。
 でも、もちろんこれで終わりではない。
 ここから先が一番重要だ。
 ずにゅるずにゅるずにゅるっ
 触手を前後させる。
 さすがに処女の中はきつかった。
 だがそれだけ締まりがいいとも言える。
 ずにゅるずにゅるずにゅるっ
 ゆっくりと、だが確実にピストンさせる。
「どう、七海さん、痛くない?」
「ひぐっ、痛いけど……痛くない」
 七海さんは多少痛がりながらも感じているようだった。
「いっ、あひっ、ひっ、ふひっ」
 突くごとに高い声をあげる。
 ずちゅっずちゅっ
 締め付けてくる処女。それがあっという間にボクを高める。
「そろそろ、出そう。中に出すね……」
「やっ! だ、だめっ、ぜったいだめえっ!」
 ずちゅっずちゅっ
 だが、七海さんの処女まんこがボクを導く。
「出るっ!」
「だめええええっ!」
「――!!!」
「やあああああああああっ!!!」
 びゅびゅびゅっ!!
 ボクは達した。
 触手内の長い尿道を通って、精液がほとばしる。
 それがボクにすさまじい快楽を与える。
 びゅくっ! びゅくくっ!!
 大量の子種汁を美少女の膣内に出す。
「だめって……だめって言ったのに……」
 大泣きし、涙を流す七海さん。
「ひくっ!!」
 しかし射精の最中に、二度目の絶頂を迎えてしまう。
 泣きながら、快感の大波にもまれている。
 ボクは中出しされながらイってしまった少女を眺め、
 びゅくっ、びゅくびゅくびゅくびゅく
 さらなる射精を続ける。
「ふう……」
 思う存分放出してから、ようやくボクは触手を抜いた。
 二拍おいて、膣口からピンク色の液体が垂れてくる。
 血液と精液の混合物だ。
 横に引っ張っていた下着を戻すと、そこに液体がしみていく。
 そして太ももを流れる。
「これで二人とも血が出たからおあいこだよね」
 と、おろしてやる。
「どう、処女じゃなくなった気分は」
 七海さんは涙も枯れ果てたという感じで、路上にへたりこんでしまう。
 ボクの方は処女を貫通して中出し出来て最高の気分だった。
「駄目だよ、七海さん。人を殴ったりしちゃ」
 ボクは触手を引っ込め、家路についた。

   ▼

 ボクが女の子に「お仕置き」をしたのは、これが初めてのことではなかった。
 何人かの女の子に同様の行為を行っている。
 そのうち一人の自宅へとボクは赴く。
 大きな家である。
 門を開けて中に入ると、広い庭に数台分の駐車スペース。
 まんがに出てくるようなお屋敷、豪邸とまではいえないが、まさにお金持ちの住む家だった。
 玄関に一人の女の子が立ってる。
「また来ましたのね、この豚が」
 と、ボクを見下す。
 豚どころかゴミを見る視線だ。
 そういう他人を見下した目つきが似合う、高慢そうなお嬢様だった。
 名前を楓さんという。
 もう全身から高級感を発している。
 カールのかかった、つやつやのセミロングヘア。
 着ているのは深い紺のワンピース(フリル付き)で、どんな素材で出来ているのかはわからないが、とにかくキラキラしていて高そうだった。
「さっさと入りなさい。ご近所に見られたら大変ですわ」
 というが、高い塀に囲まれたこの家の場合、ご近所に見られる心配はない。
 ともかくお宅にあがらせてもらう。
 家の中は静かである。
 今日、在宅なのは、彼女、楓さんだけのようだった。だからこそ、ボクが来たわけだが。
 楓さんの自室に通される。
 まず目に飛び込んできたのは、大きなグランドピアノだった。聞いたことのないメーカーのロゴが入っている。外国製だろうか。おそらく、数百万円はするものに違いない。あるいはもう一桁上か。
 楓さんは音楽関係の学科に通っている。家にいる時は、このピアノを使って練習しているのだろう。
 グランドピアノがあっても、部屋は狭苦しくなく、ゆったりした空間が作られていた。お金持ちの余裕というやつを感じる。
「本当なら、この部屋に入るどころか、私を見ることすら許されませんのよ、あなたのような豚は」
 と、楓さんは白い大きなベッドに腰掛ける。
 足を組んだかと思うと、靴下を脱いだ。
 すぽんすぽんとはずして、その辺に放り投げる。
 裸足で足を組みなおす。
 つま先から太ももまで、楓さんのおみ足はつるつるつやつやしていた。むだ毛など一本たりともない。
「さあ、お好きなだけ犯しなさい」
 と、上からの目線で偉そうに言う。
「どうせ、か弱い女には抵抗なんて出来ないのですから」
 それを聞くと欲望がたぎる。
 この生意気なお嬢様を犯したい。
 たっぷりと精液を注ぎ込んでやりたい。
 そう思った瞬間、それは飛び出ていた。
 触手である。
「あ、あ……」
 恐ろしげに、ぬめる触手を眺める楓さん。
 その目に期待の色が混じっているように見えるのは気のせいではない。
 ボクは舌の触手をのばして、足の指をなめる。
「ん……」
 楓さんはぴくりと反応する。
 ぺちゃぺちゃぺちゃ
 指を一本一本ていねいにしゃぶっていく。指の間にも舌を入れる。
「あ、あなたはそうやって、足をなめているのはお似合いですわ」
 と、楓さんは内巻き気味の髪を軽く払う。
 彼女の目には今のボクはどう映っているのだろうか。人間のままの姿か、触手の化け物か。
 さておき、楓さんの足をなめていく。
 つま先からふくらはぎへ。ふくらはぎからひざへ。ひざからふとももへ。
 足を組んでぴたりと閉じた部分をこじあけるようになめる。
「ふん」
 と、楓さんは足を開いて、横を向く。
 シルクの真っ白な下着である。きらびやかなレース。高級素材の布が股間にぴったり張り付いてる。
 触手でその部分をなでると、横を向いた楓さんが唇をぎゅっと結ぶ。
 下着の横から舌型触手をねじ込み、楓さんのおまんこを味わう。
「ひ」
 細い悲鳴を漏らして、ぎゅっと目をつぶる楓さん。
 そこはほとんど無味無臭であった。
 どうやらボクが来る前にシャワーを浴びていたようだ。
 だが、愛液の味はする。
「もう濡れてるよ」
「そ、そんなことありませんわ」
「これってオチンチンがほしいってことだよね」
「違います。単なる生理現象です」
 顔を赤くして歯を食いしばる。
「つまり興奮して濡れてるってことだよね」
 舌を上下に動かす。
「ひっ……!」
 楓さんは両手を後ろに付き、感じないように賢明である。
 しかし舌の動きを早くしてやると、
「はっ! あああああっ!!」
 大きな声をあげてしまう。
「あふっ、あっあっあっ」
 髪を振り乱しながら感じている。
「――――!!!」
 背筋を思いっきりそらして、楓さんは絶頂に達する。
「!!!」
 ゆがんだアクメ顔が気持ちよさそうだ。
「はあっ、ふあっ」
 大きく息をしながら、楓さんはベッドに横たわる。
「イった?」
「そ、そんなことありませんわ」
 ぜーぜー言いながら、答える。
 首筋まで真っ赤に染まっている。
「気持ちよかったの?」
「こんな気持ち悪いモノにさわられて気持ちよくなるわけがありません」
「そうだよね、楓さんはちょっとなめられたくらいでイっちゃうはしたない女の子じゃないよね」
「あ、当たり前ですわ。私は被害者。力ずくで犯されているだけです」
 と、そっぽを向く。
 彼女の中では、むりやりボクに犯されているということになっているらしい。
 でも、今日、家に来いと電話してきたのは彼女のほうだった。
 ことのはじまりは一ヶ月ほど前……

 あの日は雨が降っていた。
 夕方である。
 狭くて暗い路地を行くボク。
 傘をさしていた。
 だから、正面から車が突っ込んでくるのになかなか気づかなかった。
 大型の乗用車だった。
 狭い道なのに、かなり飛ばしている。
 その上ヘッドライトをつけていない。
 ボクを跳ね飛ばそうとするかのように突っ込んでくる。
「!」
 ボクはすんでのところで、横に避けて転ぶ。
 すぐ脇を通り過ぎる自動車。
 人身事故寸前だった。
 まったく乱暴で不注意な運転である。
 だが、乗用車のほうは、転んだボクにかまわず、走り去ってしまう。
 この時、ボクは後部座席にいた美人の女の子と目が合っていた。
 楓さんだ。
 泥だらけのボクを見る、冷たい目。ゴミを見るような視線だ。
 そしてすぐに手元の携帯に目を落としたのだった。
 ボクは汚れた服のクリーニング代を請求すべく、楓さんの家を探し出した。
 そしてお返しとして楓さんの高価なお洋服を白濁液で汚すことになったのだった。
 ボクは楓さんを何度か犯した。
 そうするうち、彼女から都合のいい日を連絡してくるようになった……
 ボクに犯されるのを望んでいるのである。
 今日もそんな一日だった。
 ボクはさらに数本の舌型触手を出現させる。
 一本はワンピースの奥へと進み、左右の乳首をぺろぺろする。
 もう一本は楓さんの口に突っ込む。
 最後の一本はお尻の穴をなめる。
「んー!」
 お尻への愛撫はあまり望んでいないようだった。
 だが、舌でほぐし中に進入する。
 やや苦い味がする。
「んんっ!」
 きゅっとお尻の穴が締まる。
「どう?」
 ボクは口に入れた舌型触手を前後にじゅぼじゅぼさせる。
 美人お嬢様の唇を味わう。
「もう一回イかせてほしいんじゃないの?」
 舌を抜いて、そう尋ねる。
「そ、そんな、は……っ、あふあっ」
 仰向けの楓さんは身体をぞくぞくさせる。
 特に乳首が弱いらしかった。
 舌を巻き付けて、サイド部分をこすってやると、「ふひっ」「あひっ」と何とも言えない声をあげる。
「だめですっ、私このままじゃ変に……」
 ぷるぷる震えている楓さん。
「イかせてあげようか?」
 ボクはパンツの股間の部分を横に引っ張り、ぐちゃぐちゃになったおまんこを露出させる。
「そのっ、わたくしは……」
 引っ張って皮をむいてやる。
 小さな小さなクリトリスが露出する。
「ここをなめたら死ぬほど気持ちいいと思うよ」
「な、なぜ、じらすのですか!」
 仰向けで股を開いたまま、楓さんは怒る。
「あなたは私のあられもない姿が見たいのでしょう。早くなさい!」
 と、高圧的に命令。
 マン汁を垂れ流しながら言う台詞ではない。
「はうっ……」
 乳首とお尻をいじられ、ぴくんぴくんしている楓さん。
「早くしてっ!!」
 懇願だった。
 ボクはむき出しのクリトリスをなめてやる。
「!!!」
 ぎゅーっと身体に力を入れる楓さん。
 クリトリスは尖って固くなっている。
 ボクは舌を横に動かした。
 右左、右左、一秒間に二往復である。
「あびゃっ!」
 歓喜の声をあげる楓さん。
 情けないほど表情がゆるんでいる。
「まったく、楓さんはお嬢様なのにこんな顔になるなんて……」
 スクリューのように舌を動かす。
 クリトリスが全方位から刺激される。
「――――!!!」
 悶絶する楓さん。
「ひああああああああああっ!!」
 情けない顔のまま、楓さんはイった。
 舌をべろんと出して、与えられた快楽にひたる。
 楓さんは幸せそうだった。
 女の子がどれだけ気持ちいいのかはわからないが、この顔を見ていれば伝わってくるものがある。
 よだれを流しながら、恍惚として、オーガズムを受け入れる。
 だが、楓さんの欲望はやむことがなかった。
 しばらく放心した後で急に我に返り、
「私をおもちゃにしてさぞや楽しいでしょうね」
 と、憎々しげにボクのことをにらむ。
「でも、これくらい何でもありませんわ」
 楓さんはのろのろと身体を起こし、ボクにお尻を突きつける。
「ほら、豚のように犯しなさい」
 バックの姿勢だ。
 ワンピースの裾をまくる。
 ぱっくりと割れているおまんこ。
 前後の穴がボクを待ちわびている。
 ボクは三本の触手を出現させた。
 我慢汁を流す亀頭。
 三本とも男性器型触手、つまりボクのチンポだ。
「あ……」
 うっとりした目でチンポを眺める楓さん。
 その口に一本を突っ込んでやる。
「んぐっ!」
 強制的に触手を口内で前後させる。
 さらにもう二本をお尻に突きつける。
 ずぶりっ
「!!!」
 触手が膣と肛門を貫く。
 ずちゅっ、ずちゅっ、ずちゅっ、ずちゅっ
 ボクは三本の男性器型触手からそれぞれ快楽を受け取る。
「んふっ、んふっ」
 四つんばいの楓さんは、お口とおまんことお尻の三カ所を同時に犯されていた。
 ボクは触手の意識をシンクロさせる。
 三穴が一緒になってボクを高める。
「もうだめ、出るッ」
「んーーーーっ!!」
 口をふさがれたまま、楓さんが叫ぶ。
 びゅびゅびゅっ!!!
 ボクは爆発した。
 楓さんの体内に精子を放出する。
「っ!!」
 びゅくくっ! びゅるびゅるっ!! びゅるるるっ!!! びゅくびゅくびゅくっ!!!
 三本の触手がポンプ車のように大量の精液をはき出しまくる。
 それがボクに強烈なオーガズムを引き起こした。
 なにしろ同時に絶頂三回分を味わっているのである。
 それも相手は美人でお嬢様の楓さんで、遠慮のない生での膣内射精だ。
 ボクは思う存分欲望をはき出しまくった。
「はあ……」
 満足したボクは触手を引き抜く。
「はひぃ……」
 楓さんがベッドに崩れ落ちる。
 口から、お尻から、膣から、精液が垂れ流される。
 特に股間は白濁液まみれだった。
「汚されてしまいましたわ……、こんな汚い男に……」
 と、涙を流す。
 しかし、どこか満足感を漂わせているのだった。
「犯されてしまったものは仕方がありません……」
 楓さんは仰向けになって股を開いた。
「さあ、欲望を吐き出しなさい」
 期待の目でボクを見る。
 ボクはそこに触手を突っ込んでやる。
「ああっ!!」
 喜びの声を上げる楓さん。
 ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ
 精液まみれの膣をかき回す。
「あーーーーーーっ!! あっ!! あああああっ!!!」
 遠慮の無い大きなあえぎ声だった。
「いいいいいっ!!!」
 楓さんは何度目かの絶頂を迎える。
 びゅくくくくっ!!!
 ボクは中で爆発した。


第十話に続く



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