「ユウ、はだかになって、こっちに来なさい」
呼び出された部屋で、姫子はボクにそう命令した。
「え? はだかって……」
「早くしなさい」
人の目を引きつけるような美少女がベッドに腰掛け、足を組んでいる。
もし彼女が町を歩けば、道行く者たちは、そのくっきりとした目鼻立ちと、輝くようなオーラに、老若男女問わず振り返ることだろう……実際に一緒に歩いていると、よく周囲から注目される。だが、みんな見ているだけで、ナンパ、スカウト、セールスなど、声をかけてくる者はまずいない。完璧な美少女である姫子は、下心ある連中を跳ね返す目に見えないバリアを持っているのだ。まさに一分の隙もない美少女といったところか。
そう、少なくとも外見は美しいのである。
姫子は学校から帰ってきたばかりのようで、制服を脱ぎ散らかしていた。ブラウスと下着、靴下だけの格好である。つやつやした黒髪を、無造作にふたつにまとめている。
床に落ちたスカートとブレザーを、メイドの里奈さんが拾ってハンガーにかけている。まったく自分の制服くらい自分で片づければいいのに……。姫子は小さい頃からわがままな女だった。それは三姉妹の末っ子ということもあるかもしれない。
「ほら、ユウ、さっさと脱ぎなさい」
姫子は足を伸ばして、指でボクの服を引っ張る。
「う、うん」
ボクもまだ制服を着ていた。
シャツのボタンをはずして、ズボンを下ろす。
「パンツもよ」
姫子は足の指で、ボクのパンツを引っ張り下ろした。
「あら」
姫子の目線が股間に釘付けとなる。
「見て見て、里奈」
「は、はい」
ボクの制服を拾った里奈さんは、恥ずかしそうに上目遣いでボクのチンチンを見る。
「どうなってる、ユウのチンポ?」
「大きくなってます……」
「小さいけどね」
と、姫子は笑う。
そう、ボクの息子はガチガチになって、上を向いていた。
姫子と里奈さんの前で裸になるのが恥ずかしくて、恥ずかしいと思えば思うほどこうなってしまうのだ。
「ちょっと、ユウ。裸になっただけでチンポおっ立てるってどういうことなの?」
小悪魔のように笑いつつ、白ハイソックスのつま先で裏筋を軽くさする。
「あっ!」
ボクは腰を引いてしまう。
「やだ、足で感じてるの?」
つま先がタマの袋を持ち上げる。
そうすると、姫子の下着がよく見えた。
お嬢様のくせに、意外とシンプルな木綿の白パンツである。小さなリボンが付いている。
「ねえ、里奈、こいつ変態だと思わない?」
「は、はい……」
顔を赤らめ、うつむいている里奈さん。彼女は高城家で家事を担当しているお手伝いさんである。年齢はボクと姫子よりいくつか年上で、長女の春菜さんのひとつ下。ショートヘアで丸顔の本来ならおとなしい人である。
いま、里奈さんは、欲望むき出しになったボクの包茎粗チンを見ている。恥ずかしそうにしながらも、意外と目をそらさないようだ。
ボクのほうも姫子の股間に目が釘付けだった。
ぷっくりした恥丘に興奮する。
こんな風に足でいじくられていると出てしまうかもしれない。
「もっとこっちに来なさい」
姫子が足を離したので、ボクはさらなる恥辱を味あわずに済んだ。そしてそれを残念に感じていることに新たな恥ずかしさを覚える。
「乳首が立ってるじゃない」
姫子はボクの乳首をいじり始める。
「んんっ!!」
ボクは男なのに乳首で感じてしまう。姫子に責められ続け、開発されてしまったのだ。さすがに乳首でイくようなことはないが、オチンチンと連動してどんどん気持ちよくなる。
「足で触られて感じるわ、乳首で感じるわ、本当に変態の駄目男ね」
姫子はやや興奮してきているようだった。声をうわずらせ、顔を上気させながら、ボクのチンポを逆手に握る。
「やっ!!」
ボクは女の子のような高い声を出してしまう。
「気持ちいいの? 当然よね、私に触ってもらっているんだから」
さするように手が前後する。
「あーーーーーーっ!!!」
ボクは目をつぶって叫ぶ。
姫子はボクの攻め方をよく心得ていた。
右手がチンポをしごく。左手が乳首をいじる。
どんどんと亀頭が熱くなっていく。
「そろそろイきそうね。里奈、見てなさい。乳首で感じて、イっちゃう駄目男のことを」
「は、はい」
里奈さんの返事も心なしかうわずっている。
「イっちゃうの? ユウ、イっちゃうの?」
「イっちゃうの! 姫子、出ちゃう!!」
ボクは叫ぶ。
「イきなさい! 乳首いじられてイっちゃいなさい!!」
「――――――!!!」
ボクは絶頂に達する。
びゅくるるるっ!!!
尿道口から精液がほとばしる。
「出たっ! イったわ、ユウ!!」
驚喜して、チンポをしごきまくる姫子。
びゅくるるっ! びゅるるっ!
すさまじい勢いでボクは律動する。
そのたび、快楽がボクの中で爆発する。
快感の中で、乳首の感度は最高潮に達していた。
やや強めにひねられるのが、射精よりも気持ちいいかもしれない。
ボクは放出しまくった。
姫子の手が精液でどろどろになってしまった。
その半透明の液体は、ブラウスや白い太ももにも飛び散り、汚している。
しかし姫子は気にせず、精液の量と匂いに興奮している。
「イったわね、ユウ。裸で、乳首をいじられて、手でしごかれて」
恍惚とした表情で姫子は精液をなめる。
「なかなかの濃さね、悪くないわ」
ふうと満足そうな息を吐く。
「里奈、見た? この情けない男の姿を」
「はい、お嬢様」
「この男はね、恥ずかしくされるのが大好きなのよ。男として失格ね」
ボクは言われ放題に言われていた。
しかし、全裸で手コキされて、最高の射精を味わったことを考えると、何も言い返せないのだった。
▼
静かな住宅街。
埋もれるようにひっそり建っている小さなマンションの三階が、ボクの現在の住居にしてご厄介になっている高城家である。
ボクは一階の厳重なセキュリティをくぐり抜け、エレベーターに乗り、合い鍵で玄関のドアをあけ、帰宅する。
家の中は静まりかえっていた。
今日はまだ誰も帰ってないようだ。
靴を脱いであがる。
一見、何の変哲もないマンションであるが、中はかなり広い。ベッドルームが五つに、ゆったりとしたLDKが付いてくる。いわゆる高級マンションというやつだ。
この部屋の目玉はパーティーが開けそうなほどの広いバルコニーである。
そのバルコニーにおいて、パラソルの下、一人の若い女性が読書していた。
まるで春の日に一輪の花がひっそりと咲いているかのような感覚にとらわれる。
とにかく目を引くのが手入れの行き届いたロングヘアだった。白のヘアバンドがアクセントになり、同じく白のワンピースと組み合わされている。
手にしたハードカバーは、おそらく海外の文学作品。英語かフランス語の原書だろう。
お嬢様と言う言葉を実体化したらこうなるに違いない。
品の良さと育ちの良さが自然と醸し出されている。
彼女こそが、この家の長女、晴美さんだ。
高城家にご両親はいない。現在は晴美さんが家の「当主」ということになるのだろうか。もっとも彼女はまだ学生であるし、当主と呼ばれるような年齢ではないのだが。
ボクは読書のじゃまをしたくなかったのでそっと離れようとする。
しかし、気づかれてしまった。
本から視線があがり、ボクを確認すると、優しい風のようにほほえむ。
隣の席の椅子を引く。
そこに座れということらしい。
「ただいま、晴美さん」
ボクはバルコニーに出る。
さわやかな陽気だった。外で本を読むのにちょうどいいといえる。
「おかえりなさい、ユウ君」
席に着くと、晴美さんは紅茶を入れてくれる。
少しさめていたが、それくらいが飲みやすくてちょうどよかった。
ボクは本を読む晴美さんの横顔を眺める。
本当にきれいな人だ。その上、頭が良く、優しいときている。
この人の近くにいると安心する。
ボクは晴美さんの肩のあたりによりかかる。
うとうとと眠くなっていたのだ。
髪の甘いにおいがする。
晴美さんは男性恐怖症気味だと聞いている。なんでも男で気を許すのは、幼い頃からのつきあいのあるボクくらいのものなんだとか。
晴美さんを独占出来るのは悪くない気分だった。
そして……
はっとボクは目を覚ます。
ボクの寝顔を眺めている晴美さん。
肩にカーディガンが掛けられていた。
もう夕方のようだ。陽が傾きかけている。三十分ほど眠っていたようだ。
「そろそろ中に入ろうか」
ボクは目をこすりながらうなずく。
バルコニーから、ダイニングキッチンに入ると、お手伝いさんが夕食の準備をしていた。
メイド服を着た里奈さんだ。
この衣装は、お裁縫の得意な晴美さんがわざわざ手作りしたものである。昨今のメイドブームなど知らない晴美さんであるが、海外の古典文学に影響され、お手伝いさんには専用の衣装が必要と思いこんでしまったものらしい。
ただし、晴美さんの少女趣味的なものか、あるいは参考にした資料が最近のものであったためか、完成したお手製仕事着はレースがひらひらした可愛らしい今風のメイド服だった。胸元に紺のリボン、頭にはヘッドドレス付きだ。
「今、出来ますから少しお待ちくださいね」
と、ボクに頭を下げる里奈さんはおとなしそうな感じの人である。
「待っててね」
晴美さんもエプロンを巻いて、仕事を手伝いにいく。晴美さんは、料理も裁縫も、女性らしいことなら何でも出来るお姉さんなのである。
ボクはいったん自室に引っ込む。
「ただいま」
制服を脱いだところで、次女の唯お姉ちゃんが帰ってくる。
「おかえり、お姉ちゃん」
ボクはTシャツにパンツといった格好で、ドアから顔を覗かせる。
「ただいま、ユウちゃん」
学校帰りということで、唯お姉ちゃんはセーラー服だった。
ボクの顔をのぞき込んで、にっこりと明るく笑う。
ポニーテールが傾いて流れる。
「ちょっと待ってて」
お姉ちゃんは自分の部屋に鞄を置くと、ちょっと洗面所に入って、すぐ戻ってくる。
「夕飯出来るまで遊ぼう」
と、ボクの部屋に入り、ベッドに座る。
上機嫌でニコニコ顔である。
ボクはその横に腰を下ろした。
「今日は遅かったね」
「うん、生徒会があったの」
と、ボクに抱きつく。
唯お姉ちゃんの身体はやわらかくて暖かかった。
甘酸っぱい香りにちょっとくらっとしてしまう。
「お姉ちゃんいつも忙しくて大変だね」
「別にそうでもないよ」
唯お姉ちゃんは生徒会と部活動(テニス部)を掛け持ちしている。現在の役職は生徒会副会長で、来年は会長になるのが確実視されているとのことだった。
お姉ちゃんは明るくて、元気で、誰とも仲良くなれるタイプだった。
もちろん人望もある。
運動万能で成績もよいとなれば、生徒会長に推されるのも当然だろう。
「ユーウ、ちゃん」
と、お姉ちゃんは自らの太ももを叩いた。
ボクは何を要求されているか理解し、そこに寝ころんだ。
つまり、膝枕だ。
「うふふっ」
と、上から見下ろされる。
「ユウちゃん、お姉ちゃんのこと好き?」
「うん、好き」
「本当に好き?」
ボクの頭をなでなでする唯お姉ちゃん。
「大好き」
そんなもの好きに決まっている。
何しろ面倒を見てくれる年上のお姉さんなのである。
優しくて美人でおまけにオチンチンをしゃぶってくれる。
好きにならない方がおかしい。
世界で一番好きかというと、長女の晴美さんがいるので、甲乙が付けがたいが、世界一大好きなお姉ちゃんの一人なのは間違いない。
「お姉ちゃんもね、ユウちゃんのこと大好きだよ」
と、上からボクのことを抱きしめる。
やわらかい胸が顔に当たる。
「むぎゅー」
おっぱいに押しつぶされんばかりであった。
唯お姉ちゃんはかなりの巨乳なのだ。
「お姉ちゃんね、ずっとユウちゃんみたいな弟がほしかったの。ううん、ユウちゃんを弟にしたかったの」
と、うれしそうな顔である。
上体を起こすと、セーラー服の裾から中が見えた。
薄い青のブラジャーが巨大なおっぱいを支えている。
「さわる?」
お姉ちゃんは背中のホックをはずした。
たゆんと巨乳がこぼれ落ちる。
ボクの手にあまりそうな大きさだった。
実際に確かめてみる。
ボクは下からおっぱいを持ち上げ、もみしだく。
驚くほどやわらかいそれは、ボクの手の中で変幻自在に姿を変える。
うふふと、お姉ちゃんは少し恥ずかしそうに笑う。
固くなった乳首をくりくりいじる。
「ん……」
軽く目を閉じるお姉ちゃん。
しつこくくりくりすると、
「ふう……」
と、息を吐く。
「このおっぱい、ユウちゃん専用だからね」
唯お姉ちゃんはセーラー服をめくりあげる。
乳首がビンビンに尖っていた。
乳房全体が大きい割に、先端はやや小さく、淡い色合いだった。
ボクは頭を起こし、そこに吸い付く。
おっぱいは大好物だ。
両手でしっかりとつかみ、左右の乳首をしゃぶりまくる。
「んっ……、はあっ……」
唯お姉ちゃんの吐息は少しだけ震えていた。
うるんだ瞳がボクを見る。
キスされた。
同時にお姉ちゃんがボクのことを熱烈に抱きしめる。
自然とベッドに横に倒れる。
ぺちゃぺちゃと互いに舌を絡み合わせる。
粘膜と粘膜がぬめりあう。
いつのまにかボクは下になっていた。
ボクに覆い被さった唯お姉ちゃんは、ボクの顔を押さえて、一心不乱に舌を動かす。
受け身になってディープキスを受ける。
お姉ちゃんに愛しいと思われているのが伝わってくる。
「はあ……」
激しい口づけが終わった。
ボクの唇も、お姉ちゃんの唇も、混ざり合った唾液で汚くなっている。
お姉ちゃんはティッシュで口元を拭いてくれる。
ボクはとろんとした目で、手近にあったおっぱいをもむ。
「うふ」
顔を赤くしたままお姉ちゃんは笑い、ボクの息子をパンツごしに握る。
「んんっ!!」
突然襲ってきた気持ちよさにボクは目をつぶる。
これがキスしながらだったすぐにイってしまうところであった。
お姉ちゃんは照れ笑いしながら、ボクのパンツを下ろす。
包茎チンポがそそり立ち、天井を向くどころか、ボクの顔の方を向いていた。
「すごーい、ユウくん。こんなになってる」
それをお姉ちゃんが両手で優しくつまむ。
電流が身体を突き抜け、びくんと跳ねてしまう。
包茎の皮がむかれた。
チンカスだらけの亀頭がむき出しになる。
そこにお姉ちゃんは顔を近づける。
「あ、だめだよ、汚いから……」
「じゃあ、お姉ちゃんがきれいにしてあげるね」
巨大な乳房がボクの分身を挟み、包み込む。
「すっごく、固いね」
うれし恥ずかしな笑顔のお姉ちゃん。
おっぱいのやわさからとチンポの固さがまさに反比例している。
「んー」
舌を伸ばすお姉ちゃん。
ぬるぬるした暖かいものがボクの亀頭にふれた。
「んあっ!」
あまりの気持ちよさにボクは大きな声をあげた。
男の身体で一番敏感な部分を、お姉ちゃんになめてもらっているのである。その耐え難いような強い刺激を、唾液と粘膜がすさまじい気持ちよさに変換する。
舌がチンカスをなめとりきれいにする。
「あぐうっ!!」
悶絶したボクはベッドの上で身体をひねる。
「好きなタイミングで出してね」
唯お姉ちゃんはボクの亀頭をくわえた。
ちゅぷっ、ちゅぷっ、ちゅぷっ、ちゅぷっ
軽く唇を動かす。
お姉ちゃんの口内は暖かかった。
唇が亀頭の表面を前後して、傘の裏側の部分まで刺激する。
「あああああっ!!!」
ボクは腰を突き上げる。
自分で高ぶりをコントロールできなかった。
必死にイかせようとするお姉ちゃんにイかされてしまう。
「いいっ!!!」
歯を食いしばり、ボクは射精した。
びゅびゅびゅっ!!!
すごい勢いで欲望が撃ち出される。
爆発するようなイメージだ。
びゅびゅびゅっ!!! びゅびゅびゅっ!!!
勝手に身体が射精する。
お姉ちゃんは唇でボクのすべてを支配していた。
そして精液を口で受け止めてくれる。
びゅるるっ!! びゅるるるるっ!!!!
ボクは数え切れないほど射精する。
全身を熱さが駆けめぐる。
それは上昇した体温と快感であった。
真っ白になった頭で与えられたオーガズムをむさぼる。
どれくらい射精し続けていたのだろう。
気づいたらボクは、ベッドの上で泣いていた。自然と涙が出てくるほど気持ちよかったのである。
「気持ちよかった?」
お姉ちゃんはボクの精子を飲んでしまったようだった。
胸と唇にあふれた分がべっとりとついている。
「たくさん出してくれて、お姉ちゃんうれしい」
と、上機嫌で笑う。
唯お姉ちゃんはティッシュで射精の後始末してくれた。
ボクはベッドに沈んだまま、ぼーっと余韻にふけった。
心地よいけだるさに眠ってしまいそうだった。
「そろそろ夕飯だよ」
お姉ちゃんがパンツをあげて、ボクを引っ張り起こしてくれる。
ボクらはリビングの方へと向かった。
夕食の席には、いつ帰宅したのか、姫子が先にいた。
冷たい目でボクと唯お姉ちゃんを見る。
「ユウの部屋で何をしていましたの、お姉さま?」
丁寧な口調であるが、マイナスの気温が言葉を覆っている。
「ん、お話してただけだよ。生徒会のこととか……」
真顔で嘘をつく唯お姉ちゃん。
さすがに妹相手にぼろを出すようなことはない。
姫子は刺すような視線をボクに向ける。
痛くて身をよじってしまいそうだった。
「姫ちゃんこそ、どこに行っていたの? 遅かったみたいだけど」
「別に」
ぷいと横を向く。
「みんなそろった?」
お盆を持った晴美さんがキッチンの方からやってくる。
この家の三姉妹が勢揃いした。
優しい長女、晴美さん。
明るい次女、唯お姉ちゃん。
そしてクールでわがままな末っ子の姫子。
ここにボクとお手伝いの里奈さんを足すと、高城家全員集合ということになる。
「いただきまーす」
五人が席に着くと、食事が始まる。
ここ数ヶ月ですっかりおなじみになった団らんの光景である。
高城家にやってきた初日のことを思い出す。
いきなりやってきたボクのことを晴美さんと唯お姉ちゃんは、優しく受け入れてくれた(姫子は昔からああなのでまあどうでもいい)。
ボクと三姉妹は昔からよく知る間柄だった。
幼なじみといっていいだろう。
なぜ、ボクが高城家にご厄介になって、居候することになったからというと、それはボクの自宅がなくなったからだった。……親の商売が傾いて、人手に渡ってしまったのである。
それまでのボクは一応、社長の息子、私立の学校に通う小金持ちのおぼっちゃんとして生きてきた。
それが突然の転落である。
生活力も何もないボクは困り果てるしかなかった。
そこに手をさしのべてくれたのが、晴美さんだった。
商売を立て直すまで、ボクを預かってくれることになったのである。
高城家といえば、土地や証券を保有する資産家として有名だ。子供一人の面倒を見るくらい造作もないことだった。それに昔から親戚に近いつきあいをしているので、遠慮したり、気後れしたりする必要もない。
こうしてボクは高城家の一員となったのだった。
「それよこしなさい」
と、姫子はチーズのひとつを持っていってしまう。
「あーーっ!」
ボクは泣き声をあげた。
姫子は生まれついてのいじめっ子だった。ユウのものは私のもの、ユウは私のもの、というどこかで聞いたようなポリシーの改変版を、常日頃から公言している。本当に子供の頃から姫子には泣かされっぱなしだった。
「やめなさい、姫子」
と、晴美さんが姫子を叱る。
末の妹に甘い姉でも、ボクをいじめている時だけは例外だった。
「いいじゃない、別に」
気にしたそぶりも見せず、チーズを食べる姫子。
「たくさんありますので……」
里奈さんがチーズを持ってきてくれる。
これがここ数ヶ月の日常だった。
夕食後、唯お姉ちゃんは宿題があるとかで部屋に戻っていった。
晴美さんと里奈さんは後かたづけを始める。
机の前にボクと姫子が残される。
「……」
ボクはデザートの桃を食べていたフォークをお皿に置く。
この家にテレビを見る習慣はない。
一応、リビングに大画面テレビが置かれているのだが、朝に時報代わりに使われるくらいである。
高城家の夜は意外と暇だった。
ボクはふらふらと立ち上がって、部屋に戻る。
ベッドの上で軽く横になる。おなかがいっぱいになったら少し眠くなったのだ。
お行儀が悪い上に、Tシャツにパンツという格好であるが、欲求には勝てない。
しばらく目を閉じ……
がちゃっと、ノックもなくドアが開く。
姫子が仁王立ちしていた。
「ちょっと、エロ豚」
冷ややかに言って、ドアを閉める。
ボクは無視して眠ろうとする。
「どういうことなのよ」
姫子がベッドの上に上がる。
蛍光灯の光が遮られる。
目を開くと、上から姫子がボクのことを見下ろしている。
「あんた、この部屋で、唯姉さまと、何を、したの」
言葉を強く句切り、詰問を始める。
「何って……」
姫子はボクの顔を踏んだ。
「んー!」
ハイソックスの靴下の裏が、ボクの顔をぐりぐりと責め立てる。
確かに姫子は透き通るような美少女である。
しかし足の裏はけっこう臭かった。
「何をしたの?」
「お姉ちゃんに甘えて、いちゃいちゃして……」
「それから?」
「……」
ぐりぐりぐりぐり。
「……口でしてもらった」
「口で?」
「……うん」
「イったのね?」
「……イった」
姫子はふうと大きなため息をついた。
ようやく足をあげて、ボクを見下ろす。
さげすむような冷たい光が瞳に宿っている。
「まったく信じられないわ。誰にでもチンポを押っ立てて、エロ豚、エロ犬」
そう言われても、反論のしようがない。
ボクはエロ豚である……
なにしろ今も下から姫子の下着を覗いているのだ。
パステルカラーの淡いピンクであった。
姫子のパンツなど見慣れているがじろじろ見てしまう。
それに姫子も気が付いたようだった。
さげすんだ目でボクのチンポを踏んだ。
「やあっ!!」
ボクは思わず高い声をあげてしまう。
「口なんてもったいないわ。あんたは、足で充分よ」
足の裏がごしごしと、裏筋のあたりをさする。
「んっ!」
強く目をつぶるボク。
足なのに気持ちがいい。
「ガチガチじゃないの。顔を踏まれて興奮したのはわかってるのよ」
姫子の攻めは的確であった。
どんどん気持ちよくなってしまう。
「感じてるんでしょ? 感じてるなら言いなさい」
「出ちゃう……もう出ちゃう」
あえいで声を詰まらせながらボクは答えてしまう。
「イきなさいよ、このマゾ豚。そのまま足でイきなさい。無様に出すところを私に見せなさい」
「イっちゃう……!!」
「イきなさい!!」
びゅびゅびゅっ!!!
ボクは姫子の命令通り達した。
足で踏まれてパンツの中に射精。
まったく持って屈辱であった。
しかし、これがまた気持ちいいのだ。
ボクは恍惚としながら快楽に浸る。
「ふん、イったようね」
姫子は冷静な顔でボクを見下ろしている。
「これが本来のあんたの姿よ、ユウ。最低のエロ豚男。女にいじめられれば、いじめられるほど感じてしまうのよ」
彼女の言うとおりだった。
恥ずかしい姿を最初から最後まで見られて、ボクは性的に満足しているのだ。
ベッドの上から降りる姫子。
「あんたは私専用のマゾ奴隷なんだからね。唯姉さまには近づかないこと」
精液のかかった靴下を脱いで、ボクの部屋から出ていく。
「それから晴美お姉さまにも」
最後に一言付け加える。
「はあ……」
ボクは泣きながらよろよろと起きあがる。
パンツが精液でびしょびしょだ。
情けない気持ちでパンツを脱ぐ。
姫子は姉二人に近づくなと言っていた。
独占欲の強い女だ。
ボクが別の女性、それも姉に近づいているのが気に入らないのだろう。
しかし、そうしないわけにはいかなかったのである。
▼
ある日の夜のこと。
時刻は〇時近く。
家の中は静かだった。
唯お姉ちゃんや姫子はもう眠っているはずだ。
ボクは自分の部屋をこっそり出ると、晴美さんの部屋に向かう。
抜き足差し足。
そっとドアを開け、晴美さんの部屋に入る。
薄暗い寝室だった。
晴美さんはすでにベッドの中にいた。
もう寝てしまったのだろうか?
一瞬不安にとらわれる。
「来て、ユウ君」
と、手招きしてボクをいざなう。
ボクはパジャマを脱ぎ捨てる。
パンツを下ろすと、自分でも気づかぬうちにオチンチンが大きくなっていた。息子は期待とやる気に満ちあふれている。
ボクは布団の隙間から中に潜り込む。
うふふと、晴美さんが笑う。
布団の中の肢体は全裸だった。
すべすべした暖かい肌。
ボクは正面から抱きつく。
「はあ……」
ボクの肩を軽く抱く晴美さん。
互いに全裸ですりすりする。
肌と肌がこすれあう。
この感触は気持ちがいい。
はっきり言って射精よりもいい感覚かもしれない。
ボクは晴美さんの肌触りとぬくもりを楽しむ。
晴美さんも小さく息を付いて気持ちよさそうである。
抱き合うだけで一定の満足を感じる。
しかしそれは射精をしないという意味ではない。
二人で抱き合って挿入する最も基本的な体位が存在するのだ。
「ユウ君、キスして……」
甘い声で晴美さんがささやく。
ボクらはむさぼるようにキスをする……
この家に来て以来、ボクはたびたび、晴美さんの部屋を深夜に訪問していた。
頻度は週に一、二回。
夜のうちに晴美さんの方から呼び出しのメッセージが送られてくる。すれ違いざまにささやかれたり、何気なくメモが置かれていたりだ。
その目的は、もちろん裸になっていやらしいことをするためである。
晴美さんには男性恐怖症の気があった。
しかしそれは男性に興味がないということではない。
むしろ、女三人の家庭で育ち、女子校通いが長いため、興味津々といったところかもしれない。
そこで役立つのがボクというわけである。
晴美さんとエッチして性欲解消してやるのだ。
これはどちらかというと夫婦のおつとめに近いものかもしれない。
居候の義務であり、家長への奉仕である。
しかし、もちろん、嫌々やっているのではなく、こちらも女体への興味と、中出しへの意欲は人一倍だった。
ボクは布団の中で晴美さんの胸をもみしだき、先っちょを吸う。
「うん……」
と、色っぽい声が漏れる。
晴美さんはスレンダーな体つきだが、お嬢様な外見とは不釣り合いに、おっぱいが大きかった。
「あっ、ユウ君……」
ボクの頭の上に手を置く。
やや息が荒くなっている。
ボクは舌をもっと下の方へと持っていく。
おなかをなぞり、一番重要な部分へと達する。
暗がりの中でそっと触れる。
「んっ!」
一瞬体を固くする晴美さん。
その割れ目は完全に濡れていた。
おそらくシーツまでぐしょぐしょになっているのではないだろうか。
わざわざこうするためにボクを呼んだだけあって、興奮している。
ボクはそこをなめた。
ぬちょぬちょっと上下に舌を動かす。
「だ、だめよ、そこは汚いから……っ!!」
言いながらも、晴美さんは身をよじらせる。
クリトリスを丁寧に愛撫。
「んーーっ!!」
晴美さんは意外と感じやすい。ボクみたいな性のテクニックを知らない包茎野郎でも簡単にイかせることが出来るくらいだ。
「入れるね、晴美さん」
ボクは晴美さんの足を大きく開く。
「うん、来て……、ユウ君」
うっとりした声。
ボクは皮をむいたチンポを生で突っ込む。
「あーーーーーーっ!!!」
晴美さんが大げさな声をあげた。
感じたというより、行為そのものに興奮しているんだろう。
「ユウ君が私の中に……」
晴美さんはうれしそうな笑顔を浮かべる。
ボクは正常位で年上のお姉さんに覆い被さり、腰を動かした。
「はっ!」
晴美さんがボクを抱きしめ、声をあげる。
ぐちゅっぐちゅっぐちゅっぐちゅっ
入り口のあたりをつきまくる。晴美さんはここが感じるのだ。
「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ」
呼吸と一緒に気持ちよさそうな声を漏らす。
ぬっちょぬっちょとチンポを出し入れする。
熱い膣の中で亀頭が熱くなってくる。
「くふっ」
刺激の強さにボクはひじを突く。
「ユウ君、私の中に出して。赤ちゃんほしい、ユウ君の赤ちゃんほしい」
晴美さんは泣きそうな声でささやく。
「出してっ!!」
ぎゅっとボクに抱きつく。
その力強さ。
達したのだ。
年上をイかせた。
同時にボクも興奮の頂点に達する。
びゅるるるっ!!
懇願されての中出し。
すさまじい量が放出された。
晴美さんの膣が収縮して、ボクの子種を吸い取り、さらなる射精をうながす。
びゅくくっ!! びゅるるるるっ!!!
亀頭が熱い。膣が熱い。
オチンチンが中出しを喜んでいる。
妊娠させるために、濃い精液を大量に飛ばしまくる。
男の本懐を果たしている。
すばらしい高揚感と快感の組み合わせだった。
ボクは晴美さんにしがみついて、何回も脈打った。
男に生まれて良かったと心から感謝する。
びゅる…………ぴゅるっ………………
長く続いた射精であるが、だんだんと勢いが衰えてくる。
ぴゅっ
その一滴で終わりだった。
さらに何度か出し入れするが、さすがにもう出ない。
「ひああああああ……」
仕事を終えたボクは晴美さんに体重を預けて倒れ込む。
ふたりでふうふうはあはあと耳元に息をかけあう。
「出して……くれた?」
晴美さんの声で我に返る。
「うん、たくさん出た……」
密着したままボクは答える。
「うれしい……」
晴美さんが優しくボクの頭をなでる。
イった後の晴美さんは熱くなり、発汗し、女のにおいがした。
くらくらしてしまいそうだ。
ボクらは再びキスをした。
抱き合って挿入したまま、舌を絡み合わせる。
晴美さんの腕と足はボクの身体から離れようとしない。
いつまでもこうしていたかった。
第二話に続く