「おはようございます、会長」
その挨拶はボクの隣に向けられたものだった。
「おはようございます」
生徒会長はにっこりと微笑み返す。
誰をも安心させるような、穏やかな笑顔である。
「あゆちゃんもおはよう!」
お尻を叩かれる。
悲鳴を上げる間も、朝の挨拶を返す間もなく、その女子生徒は並木道を走っていく。
セクシャルハラスメントだった。
叩かれた瞬間、お尻の肉をむぎゅっとつかまれた。女子校ならではのコミュニケーション……なんて範疇を超えている。
「――どうしたの?」
生徒会長に横から顔を覗きこまれる。
まるで母親のように心配そうな表情。
つないだ手をぎゅっと握ってくる。
「なんでもないよ、ちょっと驚いただけ……」
と、ごまかす。
「そう」
生徒会長は優しい微笑で小首を傾げる。
サラサラの黒髪が流れる。
完璧に着こなしたブレザーの制服。
奈々恵お姉ちゃんは、この学園の生徒会長を務めている。
成績優秀、容姿端麗。それでいて優しく、いつも笑顔で、面倒見が良い、となれば、お姉ちゃんが学校の代表者に選ばれるのは当然だろう。生徒たちの尊敬を一身に集めている。奈々恵お姉ちゃんに憧れ、目標する下級生たちも多いようだった。
「おはようございます」
「おはようございます、奈々恵会長」
まぶしい朝の日差しが差し込む並木道。
ブレザー姿の生徒たちが列をなし校舎を目指す。
ここは聖遙女子学園。
登校してくる全員が女子生徒だった。
一名を除いて。
「じゃあ、歩(あゆむ)くん、また帰りにね」
ボクは奈々恵お姉ちゃんと、学年別の下駄箱で別れた。
奈々恵お姉ちゃんは三年生。ボクはそのひとつ下である。
上履きに履き替え、クラスに向かう。
「おはよう、歩さん」
2年A組に入ろうとした寸前。
すごい美人に捕まった。
黒のセミロングにすらりとした長身。
この冷たい微笑は、同じ二年生の生徒会副会長、玲奈さんだった。
「お、おはよ……」
おどおどした挨拶になってしまう。
対照的に、玲奈さんは悠然とした笑みを浮かべる。
クラスに逃げ込もうとすると、
「待って。歩さん」
断固とした口調でボクを引き留める。
「な、なに……?」
もじもじとするボク。
「制服が校則違反よ。生徒会副会長として風紀の乱れは見逃せないわ」
「えー?」
ボクは自分の制服を見下ろした。
アイロンのかかった白いブラウスに、胸元の赤いリボン。チェック柄の膝丈スカート。
聖遙女子学園のブレザー制服をばっちり着こなしている。
「問題ないと思うけど……」
ソックスも校則通りの紺(ワンポイント入り)だ。
「玲奈さん、これ、奈々恵お姉ちゃんが用意してくれたんだよ」
もっと言えば、お姉ちゃんはわざわざボクに制服を着せて、リボンを結んでくれさえしてくれた。とにかくボクを甘やかし、世話を焼くのが大好きなのだ。
「生徒会長であるお姉ちゃんが、校則違反なんてするわけないと思うけど……」
上目遣い気味に、玲奈さんを見る。
「そうね、見た目は完璧だけど……」
玲奈さんは、ややトーンダウンした。
副生徒会長の玲奈さんは、生徒会長である奈々恵お姉ちゃんを尊敬している。
だが……
「生徒会室まで来なさい」
強引にボクの腕を引っ張った。
「聖遙女子学園は百年以上の歴史を誇る名門女子校です」
副生徒会長は組んだ長い足を左右入れ替える。
「校則が厳しいのは知っているでしょう?」
「うん……」
ボクはぽつんと立ったまま答える。
朝の生徒会室はボクら以外に誰もおらず静かだった。どこか空気が冷たくよどんでいるように感じる。
「学校が古いと変な校則があってね……」
パイプ椅子に座った玲奈さんはまたも足を組み替える。細いが女性らしく肉のついた太ももがちらりと覗く。そこに目が釘付けとなる。
「校則第七条、服装、項目一。きちんと守れてるかしら?」
と、生徒手帳をめくる。
「どんな校則……?」
「項目一の四、下着は白を着用すること。一の五、制服の下には白のスリップを着用すること」
「えー?!」
ボクは声を上げた。
確かにこの学校は校則が厳しい。月に二度の服装検査を行っている(引っかかる者はまずいないが)。
でもまさか下着まで指定されていたなんて……。
玲奈さんは生徒手帳をブレザーのポケットにしまう。
「もちろんこんな時代錯誤な校則は誰も守ってないし、先生方も忘れてる。でも……生徒会の関係者が違反するのはまずいんじゃないかしら?」
「ボ、ボクは生徒会と関係ないよ……」
「お姉さまが生徒会長でしょう」
「お姉ちゃんといっても遠縁だし……」
玲奈さんはボクの言葉を無視する。
「それに奈々恵先輩はこの学園の理事長の娘。あなたが校則違反をしたら、会長に迷惑がかかるのよ」
またもや足を組みかえる。
白い太ももがなまめかしすぎる。
その奥が見たい。だが、足のゆるいふくらみとスカートが邪魔をする。
「私のスカートが気になるの? じゃあ、確かめてみる? 私が校則違反してるか」
玲奈さんの口元に挑発的な笑みが浮かぶ。
「確かめなさいよ、歩さん。あなたの手で、あなたの目で」
組んだ足をぴったり閉じる。
吸い寄せられるように、ボクは床に膝をついた。
自然と息が荒くなる。
閉じた足の作り出す黒い逆三角形に顔を近づける。
「スカートをめくりなさい」
グレーのチェックの布をつまんで持ち上げる。
太ももに光が差し、奥へと続く。
最深部に浮かび上がってきたのは……、淡い水色だった。派手な顔立ちのわりに、可愛いパンツをはいている。
「どう? 校則違反じゃないでしょう?」
「下着が水色だよ……」
それにスリップをつけていない。
「そんなことないわよ。もっとちゃんと見て」
閉じていた足が割れた。
ボクは立て膝でスカートをつまみ上げたまま、思わず顔を近づけた。
玲奈さんの白い内股がゆっくりと開いていく。
水色の生地がぴったりとはりついた恥丘があらわとなる。
薄布の向こう側に、玲奈さんの、美人の副生徒会長の、最も大切な部分がある。
「ほら、じっくり見て」
後頭部に玲奈さんの手が絡みついてくる。
股間に顔を押しつけられた。
「フフッ」
得意げな笑い方。
足をボクの肩に乗せ、頭に絡め、ぐいぐい締め付けてくる。
「んーっ!!」
布越しにボクの唇が玲奈さんのあそこに触れる。
左右から柔らかい太ももに挟まれる。
「うーーーー」
そこは天国でありながら、ちょっと苦しかった。
「問題ないでしょう?」
力が急に緩んだ。
玲奈さんはスカートを直し、立ち上がる。
「今度は私が歩さんをチェックします」
腕を組んでボクのことを見下ろす。
「ほら、立って」
立て膝だったボクは言うとおりにする。
「自分で自分のスカートをめくりなさい。私に中が見えるように」
「……」
スカートの裾を握る。
先ほどから自分の顔が熱くなっているのがわかる。
「ほら、早く」
ボクは、二人きりの生徒会室で、少しずつスカートを持ち上げていった。
玲奈さんが待ちきれないように、中を覗きこむ。
スカートの裏生地が見えるまでまくりあげる。
「あら、白ね」
口元に手を当て、目を輝かせる玲奈さん。頬に少しだけ朱色が差している。
「フリルが女の子っぽくて可愛い♪」
声がはずむ。
「これも奈々恵先輩が用意してくださったもの?」
「う、うん」
「なるほど。これは校則違反には当たらないわ……でも」
近寄ってくる玲奈さん。
「これは何かしら?」
玲奈さんがなぞったのは……ボクのオチンチンの裏筋だった。
固くそそり立ったそれは、先端部が小さな女性用下着の上から飛び出ていたのだ。
「きゃうっ!」
いきなり気持ちいいことをされてボクは悲鳴を上げた……。
「ここは女子学園よ。なんで男の子がいるのかしら?」
息が荒くなってくる、玲奈さん。
我慢出来ないようで、ボクの背後に回って抱きついてくる。
「女みたいな顔をしてるからって女子校に入っていいわけじゃないのよ」
耳に息が吹きかかる。背中がぞくぞく震える。
「オチンチン禁止の校則はあったかしらね」
副生徒会長が後ろからボクの分身を手全体でなでまわした。裏筋の一番気持ちいい部分をさすられたのだ。
「ひあああっ!」
それだけでも出てしまいそうな快感が与えられる。
「手を離しちゃだめよ」
ボクはしわが出来るのも構わずスカートの裾を握りしめる。意識してそうしないと手が離れてしまいそうだった。
「そうそう。いい子ね」
優しく身体を密着させてくる。
背中に柔らかな凹凸が押しつけられる。制服越しにも体温がわかる。
玲奈さんはボクのパンツを少し下ろした。
オチンチンが弾かれたようにぴょこんぴょこん揺れる。
「アハハッ、揺れてる!」
後ろから玲奈さんの嬌声。
「わかったわ。ここがこんなに小さいから、歩さんは自分が女の子だと勘違いしたのね」
肩越しに見下ろされる。
ボクの分身は、すでに大きくなっていたが、男性の平均からすると控えめなサイズである……。
「手で隠れるくらいだもんね」
包茎の皮の上から、きゅっと握られる。
「!」
全身を稲妻が駆けめぐる。
「これ、本当に大きくなってるの?」
「……うん」
ボクは力無くうなずいた。大事なところを握られていては元気が出るはずもない。
「何で大きくなってるの?」
「え、だって玲奈さんがパンツ見せてくるから……」
「違うでしょう。自分が女物の制服着て、下着まで履いてることに興奮してるんでしょう? 私は知ってるのよ」
玲奈さんの手がボクのチンチンをなでまわす。
「んあっ!」
「女装好きの変態なんでしょう?」
「ち、違うよ……」
この制服はお姉ちゃんに着せられたものだ……。
半泣きになりながら、どうにか答える。
「副生徒会長の私に謝りなさい。変態でごめんなさい、って」
「何で玲奈さんに……」
「ちゃんと謝ったらイかせてあげるわよ」
強めに握られ、こねくりまわされる。
「ひゃっ!」
「このままだと半端に終わっちゃうわよ。どうするの?」
「……」
「ほら、どうするの」
ボクの全神経は熱い一点に集中していた。
このままイきたい。
イかせてもらいたい。
「……ごめんなさい」
「聞こえないわよ」
「へんたいでごめんなさい、玲奈さん……」
ぐすっと涙ぐむ。
「変態なの?」
「へんたい……です」
「やっと認めたのね」
玲奈さんの右手が、ボクを包み込んだまま前後に動き始める。
「んくっ!! んああっ!!」
もやもやした気持ちが方向性を与えられる。そのまま一気に頂点めざし走りだす。
「大きな声で言いなさい」
「ボクは変態です……!」
「もっと大きな声で!」
「男のくせに女装の好きな変態です!!!」
文字通り泣き叫ぶ。
「そうよ、歩さんは変態なのよ……!」
耳元で言いながら、玲奈さんはすごい勢いでボクのチンチンをしごく。
「やあああああああああああっ!」
まるで女の子みたいにボクは声を上げた。
「出ちゃう……!!」
「いいのよ、イきなさい!」
ボクを射精させようと頑張る玲奈さんの手。
すべてを彼女に任せる。受け身になり、せり上がってくるものを待つ。
「出しなさい! たくさん出すのッ!!」
しごいて、しごいて、しごかれる。
「ああああああ!!! ……ああああああああっ!!!」
「女装したまま、オチンチンいじられてイっちゃいなさい!!」
「――――!!!」
びゅくくくくくくくっ!!
熱いものが飛び出た。
真っ白になる頭。そこに快楽が押し寄せてくる。
どびゅくっ!! びゅっびゅくくくっ!!
「出たっ! 出てるわよ!!」
興奮してさらにしごきまくる玲奈さん。
「もっともっと出しなさい!」
びゅくくくっ、びゅるるるるるっ!!!
ボクは次々に脈打ち、精液を飛ばす。
「ほら、出して、もっと!!」
とにかく玲奈さんはボクの射精を促す。
「イって、イって!」
びゅびゅっ びゅびゅっ びゅびゅっ
ボクは口を半開きにしたまま、リズムを作って、何度も何度も放出した。
終わりそうになっても、強制的に奥底から精液を絞り出される。
ぴゅっ ぴゅ…… …… ……
どれくらい絶頂を味わったろう。
波をくり返し、ようやく律動が収まる。
射精が終わったのだ。
「……終わり? 濃いのがたくさん出たわね」
ボクはやっとのことで薄目を開けた。
興奮した玲奈さんの顔がすぐ近くにあった。荒い息がかかる。
ボクはそちらを向く。唇が触れる。
「んっ……」
ぬめったものが口内に侵入してきてボクを捕まえる。
べちょり
玲奈さんの舌が絡みついてくる。
ボクの舌を濃厚にねぶり、かき回される。
そうしながらも、射精直後の肉棒を軽くしごく。
ボクはなすがまま、玲奈さんの後戯に屈する。
「ふぁっ」
やっと玲奈さんの唇が離れた。
光る糸が引く。
激しくディープキスされたので、口のまわりが涎でべとべとになってしまった。
「ほら、見て」
美人の副生徒会長は、手を差し出した。
左手が白く濁った液体で汚されている。玲奈さんは空いた手でボクの精液を受け止めてくれたようだった。
その白濁液まみれの指を口元に持っていく。
べろり
舌が伸びて、精子をなめとる。
「色も味も濃いわね」
ちゅっちゅっと指に絡みついたザーメンを吸い取る。
「偉いわ、歩さん。美味しいのをこんなに出すなんて」
興奮したように精子を味わう玲奈さん。
そこに朝の予鈴が鳴る。
あと五分でホームルーム開始だ。
「あら、もうこんな時間」
玲奈さんは我に返ったようだった。
壁の時計に目をやる。
「放課後、ここに来なさい。もっと良いことしてあげるから」
副生徒会長は、澄ました顔で生徒会室を出ていく。ここは女子校だというのに、その口内はボクの精液で汚されているのである。
ボクは泣きながら、まだ興奮収まらないチンチンを女性ものの下着に押し込んだ。
こうしていつもの一日が始まった。
+ + +
これだけは自信を持って言える。
聖遙女子学園は本物の名門私立女子校である。
ちまたに「お嬢さま学校」数あれど、ほぼ全ての面で、聖遙が群を抜いているはずだ。
例えば歴史である。
学園の創立は明治三十三年のこと。西暦に直すと一九〇〇年ジャスト。実に一世紀以上に渡って、良家の女子を教育してきたことになる。これより古い女子校となると、日本にも数えるほどしかない。
勉学の面ではどうだろう。
聖遙は家庭的な校風の一貫校でありながら、進学校の顔を持っている。現在の受験偏差値は、全国の女子校でトップとは言わないまでも、上位グループに属する。入学を志しながら、試験で夢破れる受験生は多い。
そして学費もかなりのものだった。
入学金と授業料自体は、他の私立校より少し高い程度だが、両親の収入によってかなりの「寄付金」を要求される。見栄を張るためだけに多額の寄付をする親も多いようだ。
だが、成金は敬遠される。
いくら金を積んでも、聖遙の扉は開かれない。受験生には、それなりの品が要求されるのだ。といっても、排他的ではないので、本当に聖遙での教育を望むのであれば、成金でも一般家庭の出身者でも、受け入れている。
これらのことから、聖遙女子学園の生徒たちは、頭の良いお金持ちのお嬢さま、といったイメージを世間から持たれている。
実際に、ボクのクラスメイトはそんな子たちばかりだった。お嬢さまらしく上品に振る舞いながらも、元気で明るく溌剌としているのが常だった。
さて、多額の寄付を集める聖遙女子学園は、設備が充実している。
高い壁と緑に囲まれた、広い敷地。
歴史に反して、立ち並ぶ校舎は新しいものだった。つい何年か前に立て直したからだ。
校舎の北には大きな体育館が二つあった。
第一体育館と第二体育館である。
現在、前者を2年A組が使用していた。
体育の授業だ。
高い天井に嬌声が響く。
飛び跳ねる白いボール。
一人の女子がトスしようとして失敗し、明後日の方向に転がっていく。
今日の授業は球技、バレーボールだった。
前と後ろ、二つに別れたコートで試合を行っている。
ボクは体育座りで体操服姿のクラスメイトたちを眺めていた。
ボールが跳ねる。
そのたびにクラスメイトたちの肢体が弾ける。
うっすらとかいた汗で体操服がはりついている。身体のラインが手に取るようにわかる。ブラジャーが透ける。そして濃紺のブルマから伸びる白い太もも。
そんな光景を見ていると、股間がもぞもぞと動いてしまう。
ボクはじっくりとみんなのお尻を観察した。
大小様々であるが、どれもはち切れんばかりであった。
あちらこちらに目移りし……一点で釘付けとなる。
ある程度の厚みを持ちながらも引き締まったヒップ。つんと上を向いている。ブルマの裾から伸びる真っ白でむちむちの太もも。贅肉と筋肉が最高の割合でブレンドされている。
半立ちだったボクの大事なところがビンビンになる。
その子はしなやかにジャンプし、軽くスパイクを打つ。
本気ではなかったろう。それでもボールが鋭く相手のコートに突き刺さる。
明るい笑顔。楽しそうにチームメイトたちと手を合わせる。
反則だよ、とあちこちから抗議の声が挙がった。
彼女、千穂ちゃんはバレーボール部に所属している。
身長一六五センチ以上。女の子にしてはかなり高い方だ……ボクより大きい。それでも大柄に見えないのは、スタイルが良いからだろう。顔が小さく、足が長く、スリーサイズを含めて女子から見た理想像といえるかもしれない。むろん、男のボクから見ても、一種の理想の身体だった。それはいきり立った股間が証明している。
試合が終わった。
千穂ちゃんのいるチームの圧勝だった。千穂ちゃんはスパイクを打たない約束をして、トス役に徹したのだがそれだけで充分だったのだ。
勝った方も負けた方も笑いあっている。
千穂ちゃんがいるだけで、その周囲が灯りに照らされたように、明るくなっている。元気でスポーツ万能、そして可愛い彼女は、我がクラスのアイドルだった。友達を作るのが上手くて、いつも仲間たちに囲まれている。おそらく、人から嫌われたことなんてないのだろう。
千穂ちゃんはちらりとボクの方を見た。
クラスメイトたちに断って、一人、こちらに歩いてくる。
「なにやってるの?」
千穂ちゃんは腰に手を当て、上からボクを見下ろす。
気の強そうな、それでいて利発そうな顔。ちょっと怒ったような感じである。スポーツには邪魔な黒髪をうしろにひとつで束ねている。
「別に……」
ボクは体育座りのまま、固く足を閉じた。ブルマを内側から押し上げる、固くなった股間を隠すためだ。
「もう……あゆちゃんは仕方ないなあ……」
頬のあたりをかく千穂ちゃん。
「ほら、おいで」
ボクに向けて手を伸ばす。
その柔らかい手のひらを握ってボクは立ち上がった。腰を引いた形で。
千穂ちゃんに肩を抱かれ、歩き始める。
「あれ? 怪我?」
クラスメイトが声をかけてくる。
「大丈夫だから気にしないで」
少しだけ恥ずかしそうな笑みで千穂ちゃんは応じる。
ボクは体育館の倉庫に連れ込まれた。
狭く薄暗い室内。
昼間だと言うのに、ほとんど何も見えない。
妙に空気が乾燥している。
と、突然、灯りがともった。
千穂ちゃんが電気を付けたのだ。
二、三度またたいて、蛍光灯の白が室内を照らす。
狭い倉庫内には、跳び箱やロイター板、タイマーなどが並んでいた。床にはマット。窮屈であまりスペースはない。
「こっちは誰も来ないから」
千穂ちゃんは扉を閉めながら言う。
バレーボールの用具はもう一つの倉庫にしまわれる。こちらに人が来そうな気配はない。
「ほら、そこ座って」
ボクは言われた通り、跳び箱の上に軽く腰掛けた。
肩を寄せてうつむく。
「あゆちゃん、あたしのことずっと見てたでしょ」
ボクの前に立った千穂ちゃんは、前屈みになって、ボクを見つめた。
膝に手を乗せている。
自然と胸元に目がいく。
「また見てる」
千穂ちゃんのおっぱいはけっこう大きい。サイズは知らないが、手でつかめるくらい、Dカップはある。
「もう……こんなにしちゃって」
指が伸びて、ボクのふくらんだ股間をブルマの上から軽くなでる。
「んひゃっ!」
千穂ちゃんの指先から、快感が電気のように全身を貫く。
ボクの声に驚いたようで、千穂ちゃんはぱっと離れた。
それからまた一歩前に出る。
「あゆちゃん、どうしたいの? 言ってごらん」
「……」
恥ずかしくて下を向く。
千穂ちゃんはボクの手をきゅっと握る。暖かい手のひらだった。軽くさすられる。
「あたしのことを見て、ここをこんなにしちゃったんでしょ? あたしをどうしたいの?」
千穂ちゃんの顔が赤くなり始めている。唇が色っぽかった。
「キスしたい……千穂ちゃんと」
「キスだけでいいの……?」
ぐっと身体が寄ってくる。
近くにいるだけで体温と甘い匂いを感じる。
「……千穂ちゃんのおっぱいとお尻を触りたい」
握った手の力がちょっと強くなる。
千穂ちゃんは面倒見のいい子だった。
彼女との出会いは、ボクがこの学校に転入してすぐのこと。右も左もわからなかったボクの世話を焼いてくれた。どうもボクのトロさが彼女の保護欲を刺激してしまったようなのだ。
「……仕方ないなあ」
千穂ちゃんは羞恥を隠しながらボクを見る。
「好きなだけしていいよ」
と、ボクの手を自らの乳房に押しつける。
布越しの弾力が手を押し返す。
目の前の彼女はボクを受け入れている。
ボクが男であると千穂ちゃんにバレたのは、転入初日のこと。以降、彼女はさらに色々な面倒を見てくれるようになったのである。
「千穂ちゃん……!!」
正面から抱きつく。
「キャッ」
千穂ちゃんの胸に顔を埋める。
ブルマに包まれたお尻をむぎゅっとつかむ。
女の子の身体で一番やわらかい部分を好きなだけ楽しむ。
「あゆちゃん……」
千穂ちゃんは強く抱きかえしてくれた。
ボクの頭と肩のあたりをなでる。
全身で彼女の体温を感じる。
ボクは顔面をこすりつけ、身体をこすりつける。
「ん……」
ボクは顔を押しつけたまま、下へ下へ。
マットの上にひざまづく。
顔がブルマと太ももがおりなすデルタゾーンに達する。
思う存分すりすりすりすり。
ざらざらしたブルマとすべすべした太ももの肌触りを味わう。
千穂ちゃんは恥ずかしかったようだ。
「うー」
うなって、ボクの頭に手を置く。
太ももをなめる。
千穂ちゃんの肌には張りがあった。
広い表面積をべろべろべろとなめたくる。
内股に近い部分がボクの涎まみれとなった。
「千穂ちゃん……、後ろ向いて」
「……ん」
千穂ちゃんは言うことを聞いてくれた。
くるりと反転。
目の前にお尻が現れる。
ブルマにはりついたそれは、本当によく引き締まっている。だが筋肉の塊であったりはしない。
顔を押しつけてそれを確かめてやる。
やわらかく顔が埋まる。
同時に押しつけた分だけ、弾力を感じる。押し返されてくるのだ。
「んふっ」
ボクは一心不乱に顔を上下に動かす。
「んー」
やはり千穂ちゃんの恥ずかしそうな声。
「……はあ」
ボクはようやく太ももとお尻のやわらかさを試し終えた。
千穂ちゃんの手を借りて立ち上がる。
「……」
下半身を触られた千穂ちゃんは恥ずかしそうにしていた。
自然と二人の距離が近づく。
ボクのことを軽く抱きしめてくる。
べちょり
キスをする。
のっけから濃厚に激しく。
互いに大きく口を開き、舌を絡めあう。
ぶちゅっ、べちゃっ
粘液の音が体育倉庫に響く。
千穂ちゃんはとにかく積極的に舌を動かした。
すぐにボクは千穂ちゃんに身を任せるがままとなる。
口を開けて、激しいディープキスをされながら、千穂ちゃんの胸を正面からつかむ。
両手がおっぱいでいっぱいになる。
べちょべちゃべちゃべちゃ
手を動かし乳房をまさぐる。
「ん……ふっ、んふっ」
口のまわりが涎まみれになったころ、やっと唇が離れた。
「……」
千穂ちゃんは、恥ずかしそうな、とろんとした目でボクを見つめる。
その手が背中にまわる。
ブラジャーのホックを外す。
「ほら。いいよ……」
ボクはすぐに体操服をめくった。
千穂ちゃんのブラジャーはピンクだった。
花とレースをあしらった、いかにも女の子っぽいものだ。
カップの部分を軽く持ち上げる。
やわらかいものが弾けてぷるんと揺れる。
乳首がボクを待っていた。
すでに固く尖っている。吸われたくて仕方がない状態だ。色はやや濃いめでくっきりしている。
ボクは乳首にしゃぶりつく。
「んっ……」
さすがに千穂ちゃんは声を出した。
Dカップを両手でつかみつつ、唇に含む。
「うー」
舌先で転がす。
鼻息が荒くなってるのが自分でわかる。
唾液まみれになった乳首を指で潰し、もう片方を吸う。舌を左右に動かす。
「はぁっ……」
可愛らしい声を、千穂ちゃんはもらした。
だが、されるがままの彼女ではない。
手を伸ばし、下からボクのチンチンをなでる。
「ふあっ!」
ボクはぴくっと背筋を伸ばした。
「はみ出てるよ……」
つぶやく千穂ちゃん。
言われてみると、オチンチンの先端の皮がブルマの裾から顔を覗かせていた。
「あゆちゃん……、何で男の子なのにブルマなんて履いてるの?」
「何でって……」
「好きなんでしょ……こういう格好するの」
千穂ちゃんはマットに膝をつき、ボクのブルマを引き下ろした。
ビンビンになった肉棒が解き放たれ、上を向く。
「……」
眉を寄せ見つめる、千穂ちゃん。
「そこに座って」
ボクは跳び箱に浅く腰掛ける。
千穂ちゃんは膝をそろえ、正座するかのように、ボクのオチンチンを前にする。
右手で軽くつまみ、左手を玉の裏筋に走らせる。
「!」
極上の快感が走る。
仮性包茎の皮が剥かれる。
ピンクがかった亀頭が現れる。
かすかにおしっこの臭いがする。
毎日きれいに洗っているが、現時点では清潔と言い難い状態だ。
だが、千穂ちゃんは遠慮無く舌を伸ばした。
目を閉じ、汚い亀頭を文字通りなめまわす。
ぺちゃりっ……ぴちゃっ
押しつけられた暖かい舌がじっくり回転する。
「あうっ」
あまりの気持ちよさに身体が固くなる。全神経がなめられているところに集中する。
ちゅぽっ
千穂ちゃんは軽く亀頭をくわえる。
じゅぷっじゅぷりっ
浅い動きのフェラチオを始める。
唾液たっぷりの唇が、粘膜を前後していく。
「ひあっ!」
ボクは千穂ちゃんの頭を抑える。
千穂ちゃんは嫌がらず、口での奉仕を続けてくれる。
右手で肉棒をしごき、左手で裏筋をさする。
じゅぷっじゅぷっじゅぷっじゅぷっじゅぷっ
リズミカルにボクを責め立てる。
「あ――――っ!!!」
ボクはほとんど叫ぶ。
じゅぷっじゅぷっじゅぷっじゅぷっじゅぷっ
おっぱいを揺らしながら、フェラし続ける千穂ちゃん。
ボクは目を閉じて、気持ちよさに身をゆだねる。
千穂ちゃんの頭をぎゅっとつかむ。
じゅぷっじゅぷっじゅぷっじゅぷっじゅぷっ
まさに天国である。
ずっと千穂ちゃんにこうしていて欲しかった。
でも、身体の奥底からそれは押し寄せてくる。
千穂ちゃんに吸い上げられる。
「出ちゃう、千穂ちゃん、イっちゃう!」
千穂ちゃんはボクの叫びをおねだりととらえたようだ。
じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷじゅぷじゅぷ
フェラのスピードがさらに上がる。
「ああああああああっ!!!」
ボクは抵抗しない。
欲望に身をゆだねる。
じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷじゅぷじゅぷ
「――――――――――!!!!」
ボクは達した。
びゅるるるるるっ!!!
先端から熱いものがほとばしる。
びゅくっびゅくっびゅくっ
千穂ちゃんの頭を抑えて、何度も何度も飛ばす。
びゅっびゅっびゅっびゅっびゅっ
何も考えられない。
ただただオルガズムをむさぼる。
千穂ちゃんは射精の瞬間、力強く亀頭を吸う。
それが尿道から大量の精液を吸い上げる。
射精の勢いが増してさらに気持ちよくなる。
びゅくっ……ぴゅくっ…………ぴゅっ………………
発射のインターバルが段々長くなる。
それでも千穂ちゃんはちゅぽちゅぽし続ける。
ぴゅっ……………ぴっ………………
ようやく快楽の波が収まってくる。
「……たくさん出たね」
千穂ちゃんはボクのチンポから口を離した。
すでにボクの新鮮な精液をすべて飲んでしまったようだった。
「今日は……一回も出してなかったの……?」
ひざまずいたまま、上目遣いにボクを見る。
「ううん。起きた時にお姉ちゃんと一回、授業が始まる前に玲奈さんと一回したけど……」
「玲奈と!?」
千穂ちゃんは大きな声を上げた。
いきなりこんな反応をするのには理由があった。
玲奈さんと千穂ちゃんはライバル関係にあるのだ。クラスこそ違うものの、美人で優等生で人気者同士、二人は昔から何かにつけ張り合うことが多かったと聞く。ボクは実際に二人が対決している現場を何度か見たことがある。
「……何であたしのものにならないんだろう」
千穂ちゃんはぽつりともらし、ボクのブルマと下着を引き上げてくれた。
濃厚なフェラチオで果てた息子は、まだ固さを残しながらも、紺色のふくらみのなかでおとなしくしている。
「ねっ、放課後にもう一回してあげるから、またここの倉庫に……」
千穂ちゃんはボクを媚びるように見る。
「あ、放課後はだめなんだ……」
目をそらして答える。
「なんで?」
「玲奈ちゃんが生徒会室に来いって……」
「また玲奈!?」
千穂ちゃんは目を剥いた。
ただでさえ、気が強そうな子なのに、眉の角度が戦闘態勢に入る。
恐ろしいことの起きそうな予感がした。
+ + +
午後の授業が終わる。
放課後。
時刻は三時半を回ったあたりだ。
クラスの子たちは、おしゃべりしたり、部活に向かったりと、思い思いに過ごしていた。
「ほら、行くよ」
千穂ちゃんが強引にボクの手を取る。
「う、うん」
ボクは急いでノートを革の鞄に詰め、教室から出る。
下校する生徒たちで混雑する廊下を、千穂ちゃんはぬっていく。
ボクは手を引かれて、ついていく。
向かう先は校舎の四階、生徒会室。
「あら、千穂?」
扉を開け放った千穂ちゃんに対して、先に来ていた玲奈さんはすぐさま挑発的な視線を投げかけた。
余裕を持って、冷たく微笑し、腕組む。
千穂ちゃんは何か言い返したかったようで、眉をつり上げるが、まずは落ち着いて、ドアを閉める。それから、
「どういうことよ、玲奈」
と、副生徒会長に詰め寄る。
「どういうことって、何が?」
玲奈さんはあくまで余裕である。
バレー部のエースと、学園の副生徒会長。
二年生を代表する両者の戦いだった。
二人とも女の子にしては背が高く、相当な美貌の持ち主で、気が強く、堂々としている。二人の戦いには、静かな迫力があった。もし、間に挟まれたら、潰されて死んでしまいそうだ。
「生徒会室にあゆちゃん連れ込んでどうするつもりだったのよ」
「どうするつもりって」
冷たく笑い、
「千穂になら、言っても問題はないわね。私は……この生徒会室で歩さんをレイプするつもりだったのよ」
「レ、レイプって!」
「強姦、陵辱と言ってもいいわ。歩さんのことを動けなくなるまで徹底的に犯しぬくつもりだったの」
「なに考えてるのよ! 犯罪よ!」
顔を赤くして、にらみつける、千穂ちゃん。
「残念ながら犯罪じゃないの。合意の上だもの。本当なら、嫌がってるところを無理矢理に犯したいんだけどね……。この女装変態男は、女に力ずくで犯されるのを喜んじゃうのよ。してやるって言えば、尻尾を振って飛んでくる。あなたも知ってるでしょう?」
千穂ちゃんはボクをにらんだ。
怒りの矛先がボクに向いたのだ。
ものすごく非難されているのを感じる。
この変態男め、と。
でも、仕方ない。ボクは本当に変態野郎なのだから……。
「そ、そんなことは私が許さないわ」
千穂ちゃんは、ライバルに向き直る。
背中にボクを隠そうとする。
「あら、じゃあ、千穂が私の代わりにこのマゾ男をなぶるっていうの?」
「玲奈にされるくらいなら私がやってやるわよ!」
「そう」
玲奈さんは楽しそうに笑った。
「じゃあ、歩さんに決めてもらいましょうか」
突然、矛先がボクに向いた。
「この優柔不断な男に。私と千穂のどちらがいいか」
両者の視線がボクを突き刺す。
「えっ……」
何も答えられない。頭が真っ白になる。
「私と玲奈のどっちを取るのよ」
千穂ちゃんに詰め寄られる。
クールな玲奈さんと、明るい千穂ちゃん。タイプは違うが、二人とも理想の女の子だった。
「どっちって言われても……」
選ぶ事なんて出来なかった。
「どっちに」
「するの」
二人から顔を寄せられる。
冷静な状態で考えても答えは出そうにないのに、こんなに詰め寄られては……
「……」
混乱し、怖くて泣き出しそうになったところで、
ガチャッ
生徒会室のドアが開いた。
「あ、歩くんいた」
耳に馴染んだ脳天気な声が聞こえる。
奈々恵お姉ちゃんだ。
「ここにいたんだね、教室にいないから探しちゃった」
ニコニコと笑う。
「みんなでおしゃべりしてたの?」
お姉ちゃんは玲奈さんと千穂ちゃんを見る。
「う、うん」
二人もごまかすように頬を引きつらせる。
「千穂さん、いつも歩くんの面倒見てくれてありがとうね」
「あ、い、いえ」
しどろもどろの千穂さん。
「今日は、生徒会の仕事ないよね」
と、お姉ちゃんは生徒会長は副生徒会長に聞く。
「は、はい。何もありません」
冷静を装う玲奈さん。
「お姉ちゃん、帰ろ」
ボクは鞄を取った。
「ん? もういいの?」
お姉ちゃんは二人を見る。
「うん、話は終わったから」
「そう。じゃあ、二人ともまたね」
奈々恵お姉ちゃんは手を振る。
生徒会室から飛び出る。
こうしてボクは窮地を脱したのだった。
第二話に続く