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第一話 触手に犯される少女たち



 そう遅くなってしまったわけではない。
 セーラー服姿の少女は焦ることもなく家路についていた。
 テニス部所属。登校用のバッグとラケットの両方を肩から提げている。
 夕方過ぎまで真面目に練習に打ち込む真面目なスポーツ少女である。
 女子校育ちであるため恋人はいない。また、これまでに作ったこともない。当然、処女だった。恋愛に憧れながらも、部活に励むごく普通の少女なのだ。
 自宅まで後少しという住宅街の路地。
 本来なら通行人の多い時間帯である。しかし……、不自然にだれも通りかからないことにその時、彼女は気づかなかった。
 誰かに肩をつかまれる。
 少女は反射的に身を引き、振り返った。
 そこに化け物がいた。
 暗闇の中にうごめく何十本もの触手。おぞましく、そして恐怖をかきたてられるその姿。
 少女は固まり、悲鳴を上げることすら出来ない。
 触手が一斉に伸びてくる。
 それをきっかけに少女は逃げ出した。
 誰もいない夜道を全力疾走。バッグとラケットを抱えて必死の形相だ。運動部所属であるため逃げ足は相当に速い。
 しかし、触手はそれをあざ笑うかのように、前方の暗闇からあらわれ、少女の足首をつかんだ。
「!」
 前につんのめる。
 太くたくましい触腕が少女の腕をつかんだ。
 助けたのではない。
 獲物を捕まえたのだ。
「いぃぃぃやあああああああああっ!!」
 住宅街に絶叫が響く。
 周りの家にその声は届いたはずだった。
 しかし、だれ一人として外に出てくる様子はない。
『処女だ』
『犯せ』
 どこからともなく低い声が聞こえる。
 いやそれは声ではない。触手の持つ意志が少女の思考に直接届いているのだ。
「離して!!」
 力一杯もがく。
 だが、肩と腰を押さえられては、逃げようがない。
 触手の先端が、少女の顔の前に突き付けられる。
 少女はぬらぬらと光るそれを見て、
「ひっ」
 恐怖で喉を鳴らす。
 次の瞬間さらにおぞましい変化が起きた。
 先端部分が割れ、中から細い触手が大量にあらわれたのだ。まるで舌のように粘液が光っている。
 頬をなめられる。
 その気色悪さに少女は総毛立つ。
 触手は唇へと向かっていく。
「!」
 少女は必死に顔を逸らす。
 だが、イソギンチャクのような舌触手は上下の唇を舐め取った。それから強引に口内に押し入ろうとする。少女は必死に歯を食いしばり、それを拒絶する。
 そうしているうち、他の触手も二の腕や太ももなど肌の露出している部分に舌を伸ばし始めた。柔肌に残る汗の跡を舐め取っていく。
 その動きはやがて内側へ。少女の服の中に入ってこようとしているのだ。
「えっ、やっ、やあああああああああっ!!!」
 少女が拒絶の絶叫をほとばしらせる。
 口が開いた隙に、唇を舐めていた舌触手が侵入してくる。
「!」
 触手は先を争うようにして少女の甘い舌に絡みついた。
「んーっ!」
 奇妙な味の粘液が少女の口内を犯す。
 袖から入った触手は脇を舐めた。襟元から入った触手は鎖骨を。
 そして足に絡みついた触手はどんどん太ももの付け根の方へと向かっていく。
「!!」
 少女は身をよじる。しかし、両手両足は太い触腕にがっちり固定されている。肩や腰にも触手は巻き付いており、ほとんど身動き取れない状態だ。
 ブラジャーのカップの中に舌触手が忍び込む。さほど大きくないが柔らかい乳房を押しのけ、乳首に到達する。
「はうっ!」
 敏感な突起に触手が巻き付いた。
 やや陥没した先端部、側面部分、そして乳輪と全体を蹂躙される。
「んんんんっ」
 その刺激で全身に力が入らなくなる。
 しかし、
「!!!」
 一気に身体が固まった。
 触手がショーツの中に入ってきたのだ。
「だ、だだだ、駄目っ!!」
 しかし化け物は意に返さない。それどころか狂喜するかのような高笑いが聞こえてくる。
 とうとう舌触手は少女が一番守らねばならぬ部分に達した。
 すじを開くようにぬるりと中に入っていく。
「やあああああっ!!」
 何本もの触手がブラシのように少女の未開発な性器全体をこする。
 むろん、こんな気味悪い化け物になめられたところで快感はない。ただ、おぞましい感覚に全身をふるわせるのみだ。
 舌触手はアヌスにまで群がる。
 ぬるぬるした触手の束は、セーラー服少女の三穴を同時に攻める。
 両手両足を拘束された少女はなされるがままだった。
「んっ、ふぐっ」
 涙を流しながら責め苦に耐える。
 しかし、彼女への乱暴がそれだけにとどまるはずは無かったのである。
 少女の身体が持ち上げられた。
 両足を左右に引っ張られる。
 すると、舌触手が一斉に離れていった。
「え?」
 強制的に開脚されている少女。
 粘液まみれの股間が下着に張り付き、小さな丘を作っている。
 触腕が下着を横に引っ張る。
 しゃぶられ尽くした幼い女性器があらわとなった。
 強引に開かれたつぼみはひくひくとわななき、愛液と触手の粘液を垂れ流している。
 一本の触手が進み出る。
 先端部分が割れると、それは男性器によく似ていた。
 カリの部分がふくらみ、先端には尿道口のようなものが見える。
「ひっ」
 少女の喉から小さな悲鳴が上がる。
 彼女は屹立した男性器など見たことがなかったが、それでもその正体が分かったのである。
 挨拶するようにペニス触手は少女の顔の前に立つ。
 ふるふると少女は必死に首を振る。
『犯してやる』
 だが、そんな声がどこからともなく響く。
『犯せ!』
『処女を奪え!』
『中に出せ!』
 男性器触手はむき出しとなった少女の股間へと向かう。
 このままでは犯されてしまう。こんなわけのわからない化け物に処女を奪われ、妊娠させられてしまう。
 嫌悪と恐怖が少女を包む。
 しかし助けなどあらわれなかった。
 亀頭に酷似した部分が、縦に割れた唇の中に食い込んでいく。
 少女は涙を流しながら横を向く。
 膣口に侵入者が頭を突っ込む。
 しかし未開通の処女は固く扉を閉ざす。
 ぬるぬるの粘液の力を借り、触手は強引に、そして乱暴に貫く。
「――――!!!」
 痛みが少女の腹部を走る。
 あっという間に処女を破られたのである。
 悲鳴すら上げることが出来ない。
 触手はそんな少女のことなどお構いなしで無理矢理前後する。
「痛いっ、痛いっ!」
 悲痛な声があがる。
『孕め』
 その声と共に触手はびくびくと波打った。
 少女は理解する。犯され処女を奪われた上に、最悪の行為をされてしまったのである。
 触手が抜けていく。
 ようやく股間の異物感が抜けて楽になる。
 しかし、そこはもう取り返しの付かない状況になっている。
 膣から垂れ流される白濁液。その中に純血を破られたことの証である赤い血が混じっている。
 まさに絶望の光景だった。
「あっ……あっ……」
 さらに涙が溢れてくる。だが両手をふさがれていては涙をぬぐうことすら出来ない。
 二本目の触手があらわれる。
 さらに彼女を犯すつもりなのだ。
 精液の溢れる中にそれは入っていく。
 ぬるりと比較的容易に挿入は果たされた。さきほどより痛みは少ない。
「…………」
 気力を失った少女はおとなしく犯される。
 すぐに二度目の膣内射精がなされた。
 ぶるぶると触手は震え、思う存分放出する。
 それが済むと、すぐさま三本目があらわれる。
 少女の身体が熱くなり始めていた。
 どうせ犯されてしまったのだ。もうどうなってもいいという気持ちの中で触手を受け入れる。
「ふっ、ぐっ……」
 突かれるたび、重い声を漏らす。
「はっ……あふ……」
 やがて声は高いものへと変わっていく。
 その時であった。
「遅かったか……」
 沈痛の声が少女の耳に届いた。
 ぼんやりとした目でそちらを見やる。
 剣を携えた少女が屋根の上に立っていた。
 凛とした瞳を持つ美少女である。
 怒りに満ちたその表情は、むしろ彼女の美しさを引き立てていたかもしれない。
 着ているのはセーラー服。ただし、犯されている少女のものとは違い、胸元に青いリボンが付いた有名女子校の制服だ。
 少女剣士が飛ぶ。
 ズシャッ!
 着地と同時に触手が飛んだ。
 少女が手にした剣で切り飛ばしたのだ。
 常人を超えた速さと身体能力であった。
 足を怪我することもなく立ち上がった少女は、けがらわしい化け物に向けて剣を構える。
 その視線は冷たく美しい。
 触手が少女剣士に迫る。
 剣が舞う。
 スカートと長い黒髪が翻る。
 まるで優雅なダンスのような動きだ。
 たったそれだけでほとんど全ての触手を切り落とす。
 舌や亀頭のような先端部分は地面をのたうち回り、それからゆっくりと消えていく。
 残りは数本。
 一瞬にして美少女剣士は片づける。
 その時、切断部分から粘液と精液の混じったものが飛んだ。
 少女の陶磁器のような頬にひっつく。
 それまでクールな怒りを燃やしていた少女は眉をしかめ、ポケットから取り出したティッシュで必死に拭く。
 しかし、その傍らにはもっと酷い状態の少女が倒れていた。
 股間から精液と血液を垂れ流し、ぼんやりとした目で救出してくれた女剣士を眺める。
「ごめんなさい、もうちょっと私が早く駆けつけていれば……」
 重い声の謝罪。
「なんで……助けたの?」
「え?」
 その意外な返答に美少女剣士は声をあげた。
「もっと気持ちよくしてもらいたかったのに……余計なことしないで!」
 少女は股間から血と精液を垂れ流しながら叫ぶ。
 堕ちた……か。
 少女剣士はさらに怒り、悲しみを募らせる。
「本当にごめんなさい……」
 消え入りそうな声だった。

 森の中に建つ名門女子校。
 その廊下を一人の生徒が歩いていた。
 綺麗に伸びた背筋は上品さと育ちの良さを醸し出す。
 そして意志の強いなまなざしは周囲を寄せ付けないオーラを発散していた。
 美人の多い名門私立女子校の中でも飛び抜けた美少女。
 彼女が歩くだけで周囲は注目する。
「……アイルさんよ」
 ひそひそとセーラー服の少女たちが耳打ちしあう。その目にこもっているのは羨望だ。中には、現実離れした美貌を見つめ、魂を抜かれたかのようになってしまう下級生までがいた。
「アイルさん、今日もお綺麗ね……」
「誰か声かけなさいよ」
 そんなささやき声の中、アイルと呼ばれた少女は優雅な足取りで廊下を進む。まわりの視線や喧噪など何でもないといった風だ。
 アイルの目的地は更衣室であった。
 ドアを開けるとクラスメイトたちがすでに着替えを始めている。次の授業は体育。下着とブルマの群れが狭い部屋に溢れている。
 クラスメイトたちは一瞬会話を止め、アイルの存在感に目を引き寄せられるが、すぐさま騒がしいおしゃべりに戻る。同じクラスだけあって、アイルの美しさには慣れているようだった。
 しかし、美少女がセーラー服を脱ぎ始めると、再び視線が集まる。
 バランスの取れたプロポーションだった。盛り上がった豊かな胸は大きすぎず、また腰は細すぎない。下着は上品な白のシルクである。
「アイルさんの肌、綺麗……」
 少女たちが魅入られたように手を伸ばしてくる。
 しかし、アイルが振り向くと、一斉に手が止まる。
 その光景に美少女は困ったようなほほえみを漏らした。
「触ってもいいわよ」
 少しならと付け加える。
 完璧な美少女のガードが下がった。
 しかし、いいと言われても、実際に触るのはみな気が引けるようだった。
 アイルを取り囲む集団の中から一人が歩み出て、白い肩、そして二の腕あたりをさする。
「うわっ……すべすべ」
 驚嘆の声を上げる。周囲からも歓声が上がる。
 アイルはそれを聞き流し、体操服を頭からかぶる。
「どうしたらこんな綺麗な肌になれるの?」
「さあ。私は別に何もしてないわ」
 クールな顔で長く美しい黒髪をひとつにまとめる。
「それより授業始まっちゃうわよ」
 アイルが言うと、少女たちが一斉に更衣室から出る。

 体育の授業中もアイルは注目の的だった。
 長い足が体育館のバスケットコートを駆ける。
 パスを受け、ドリブルひとつすると、瞬時にマークに付いた選手を置き去りにする。ずば抜けた運動神経だ。
 最後の一人を交わしてシュート。
 弧を描いたバスケットボールがリングをくぐる。
 アイルの優雅な動きにコート全体がため息をついた。
「すごいわね、うちの部に入らない?」
 と、声をかけたのは、アイルに抜かれた一人だった。背の高い彼女はバスケ部の一員である。
「ごめんなさい、放課後は忙しいの」
 アイルは申し訳なさそうに謝罪する。

        ▼

 女子校の放課後。
 授業が終わると、アイルはすぐに席を立った。
「アイルさん」
 背中に声をかけられ、ゆっくりと振り向く。
 呼び止めたのはクラスメイト三人だった。
 いずれも無邪気な笑顔でアイルを見つめる。その穏やかさから育ちの良さが伺える。
 一人は更衣室でアイルの肌に触った少女だった。
 清楚な三つ編み。名前は確か理絵といったか。
 アイルはクラスメイトの名前をあまり覚えていない。そもそもつきあいがないのである。
「帰りにお茶でも飲んでいかない?」
「お茶?」
 その思いも寄らぬ申し出にアイルは首を傾げた。
「一度アイルさんとお話してみたかったの。みんなアイルさんのことが気になってるんだよ」
 押し付けがましくない、柔らかい笑顔である。
「ごめんなさい、放課後はしなければならないことがあるの……」
 ささやくような声でアイルは断る。
「……駄目?」
 理絵は小首を傾げた。
 懇願でもなければ非難でもない瞳。ふんわりとした雰囲気に思わず『はい』と言ってしまいそうになる。
 しかしアイルは自分を奮い立たせるために首を振った。
「そう……。なら帰り道に少し話してもいい?」
「それくらいなら……」
 三人は明るく笑いながら、アイルの周囲を取り巻いた。
 他の生徒たちがうらやましそうな視線をよこす。
 まるで美の女神に無垢な天使たちが集っている光景だった。
「アイルさんはいつもすぐ帰ってしまうけど、お稽古ごと?」
 小柄な理絵は上目遣いでアイルの瞳を覗き込む。その仕草には年齢以下の幼さが感じられる。
「そうね……」
 一瞬、アイルは口ごもる。本当のことを言うわけにはいかないし、信じてもらえるわけがない。
「家の手伝いかしら」
 と、ごまかす。まあ嘘ではない。
「ご両親は社長さん? それとも政治家?」
「どちらかというと後者かしら」
 アイルはきまじめに答える。
 話しているうちに下駄箱につく。
 四人は靴を履き替え、校門から出る。
「アイルさんはどちらに住んでらっしゃるの?」
「X町よ」
「え、あの大きなお屋敷ばかりのところ?」
 お金持ちのお嬢さま三人が驚く。それほどの高級住宅街ということだ。
「別に私の家ではないから」
 アイルは淡々としている。
「X町だと反対方向ね」
 残念そうに理絵は言った。
「あちらに雰囲気のいいカフェがあるのを見つけたの。やっぱり……駄目?」
 アイルは首を振る。
 彼女には課せられた任務がある。
 本来なら、クラスメイトとお茶しておしゃべりしたいのだが、そんな暇は与えられていないのだ。
 その雰囲気を察したのか、三人は無理強いしなかった。
 アイルは一人背を向けて歩き出す。
「本当にお姫様みたい」
 と、理絵はつぶやいた。
 実際のところその感想は当たっていた。
 アイルは姫……それも姫剣士なのである。

 不景気で放置されているX町の豪邸。
 ここがアイルのすみかだった。
 理絵たちに話した通り、この家はアイルの家ではない。人が来ないことから勝手に拝借しているものだ。
 アイルは帰宅するといつものように制服を脱ぎ捨てシャワーを浴びる。
 真っ白な肌に、みずみずしい果実のような乳房。胸の先に立つ乳首は上品で慎ましかった。まさに熟す寸前といった風の女体である。
 昼間の汗を流し終わると、シルクの下着を手に取る。
「そうだ」
 アイルはタンスから新しいブルマと体操服を取り出し着替える。
 これで準備は万端だった。
 そして夕方を過ぎたころ……
 まがまがしい気配を感じる。
 学校の方だ。
 アイルは屋敷を飛び出す。
 高級住宅街を体操服姿で疾走する少女。
 重力を無視したような走り方と速度であった。
 しかし見とがめる通行人の姿はない。
 すでにあたりは異世界と混じり合っているのだ。
 気配を察してから数分。
 少女は現場にたどり着く。
 そこはすでに現実世界が溶けかかっていた。
 うごめく触手の固まり。その先端部分は男性器とよく似ている。
 異世界より迷い込んだ淫獣だ。
 アイルは憎々しげににらんで、手のひらを伸ばす。
 すると一本の剣がどこからともなくあらわれ、手に収まる。
 気合いの声と共に触手を切り飛ばす。
 白い液体が血液のごとく飛ぶ。
 それでも淫獣はひるまずアイルに群がってくる。
 この化け物は男性の欲望を具現化した存在であった。
 となればアイルのような美少女を放っておくわけがない。
 触手が伸びては次々と切断される。
 太刀筋に迷いはない。
 アイルは触手を狩るために異世界から派遣された聖剣士である。日本人を装っているが、本来の姿は姫。身体的能力も使命感も比類無きものがあった。
 白濁液が飛び散り、体操服の胸のあたりにかかる。しかし、制服と違って汚れてもいい格好なので、気にせず剣を振るう。
 あらかた触手を倒したところでようやく少女剣士は気づく。
 角の奥、すでに犯されている少女がいる。
 それも三人だ。
 見慣れたセーラー服。
「んっ、んっ!」
 触手が膣と口を前後する。
 そして同時に射精。
 欲望を吐き出すと、ずるりと抜ける。
 白濁の精液がこぼれ落ちた。
 膣から溢れるものには赤が混じっている。
 三人とも処女だったのだ。
 恐怖と痛みでゆがんだ顔。ぽろりと涙が落ちる。
「理絵さん!?」
 アイルは叫ぶ。
 先ほど別れたクラスメイトの三人ではないか。
 自然と身体が反応していた。
 一瞬で十本以上の触手を切り飛ばす。
「理絵さん、大丈夫!?」
 だが、大丈夫なはずがない。
 この世のものでない化け物に襲われ、処女を奪われてしまったのだ。
 目が死んでいる。
 まるで気絶しているかのようだ。
「なんてこと……」
 アイルは後悔する。
 彼女たちと一緒にいれば、少なくとも守れたはずなのだ。
 残っていた触手がまとめて襲いかかってくる。
「くっ」
 剣を構えるアイル。
 しかし、振り下ろそうとした瞬間、その腕にしがみつくものがあった。
 触手ではない。理絵の腕だ。
「理絵さん!?」
「なんでアイルさん邪魔するの……? 一緒に気持ちよくなろうよ」
 アイルは身体をこわばらせる。
 もう堕ちている。
 理絵は淫獣の性奴隷となり果てていたのだ。
 この状態の女性は自ら進んで触手に身をゆだね、誰のともわからぬ子を孕むまで犯され続けることになる。
「離して!」
 アイルは理絵をふりほどく。
 しかし一瞬の油断が命取りであった。
 亀頭のような触手がアイルの眼前に迫る。
 少女剣士は剣を振るえず、すでにそれをつかむ。
 ビュクッ!!
 精液が飛んでアイルの顔にかかった。
 ザーメンは唇に垂れ、口の中にも入ってくる。
 ひるまずアイルは触手を切る。
 背後から別の一本が迫る。
 太ももに絡みつかれた。
 ぬるりとした感触。
 しかし、動きを封じられたわけではない。
 次々と剣を走らせる。
 生き残った触手が胴体を縛る。腕を取る。
 アイルの動きが鈍ったところで、一気に襲われる。
 触手の亀頭が尻に押しつけられる。
 体操服の上からまさぐられる。
 まるで大勢の男たちに組み敷かれ、身体を触られているかのようだった。
 ビュビュビュッ!!
 触手は射精しブルマの尻に精液を履きかける。
 どろどろの粘液は生地に半分しみこむ。
 さらに胸のあたりに発射される。
 白濁液によって体操服が透けて、下着が見え始めた。
 ブルマの上から股間に触られる。
「!」
 アイルの背筋に悪寒が走る。
 固い男性器の感触。少女を犯す男の象徴。
 またも顔に射精される。
 美しく高貴な顔立ちが最もけがらわしいもので汚される。
 触手はそれだけでは飽きたらず、裾に突っ込み、侵入しようとする。
「いやああああああっ!!」
 本物の悲鳴。
 動けない身体を強引に動かす。
 それで触手がバラバラになった。
 もがくことでなんとか剣を振るうことが出来たのだ。
 荒く息を付きながら、最後の一本を倒す。
 それでおしまいだった。
 周囲が静かになる。
 残されたのは犯されたセーラー服の少女三人。
 そして精液まみれとなったブルマの美少女。
 ハアハアと息を吐く様はまるで性行為後のようだった。
 アイルは同級生三人から目をそらす。
 今回もまた間に合わず犠牲者を出してしまった。
 そして自らも危うく犯されかけた。
 だが、負けるわけにはいかない。
 この化け物を倒すのがアイルの責務なのだ。


第二話に続く


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