体験版「利尿剤」
チャプンッ……
(どうしよう……どんどんオシッコが溜まってきちゃってる。こんな調子じゃ、駅に着くまで我慢出来なくなっちゃうかも!?)
下腹部を押さえ込んだまま、優理奈はひたすら思い悩んでしまう。
あまり長くは持ち堪えられそうにない雰囲気だったので、途中下車することにしたのだ。
電車に揺られるたびに液体が揺れ動いてきて、つい焦らずにいられない。
刻一刻と尿意が強まってくる様子を、嫌と言うほど思い知らされていたのだ……
「つ、次の駅で下ろして……もらえませんか?」
フルフルフルッ……
背後を振り返りながら、優理奈は恐る恐る頼みごとを始める。
下半身の欲求を我慢出来そうにないので途中下車させて欲しいと、重役に頼み込んでいたのだ。
重役の返事を待ち構えている間も、あまりに悔しくてたまらない。
逼迫した状況に追い込まれた挙げ句、忌み嫌っている相手に追い縋ってしまったのだ。
「さすがに芹沢くんも堪え切れそうにないみたいだな……分かった。あの駅で降りることにしようか」
優理奈の悲痛な訴えに耳を傾けると、重役はすぐに返事を返す。
あまり無理をさせても可哀想だと感じて、途中の駅で一旦降りることにしたのだ。
段々と電車がスピードを緩める間も、小刻みに震え上がっている優理奈の頬につい注目せずにいられない。
フラフラフラッ……
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……ひんっ!?」
電車が止まったと同時に、優理奈は慌ててドアから飛び出していく。
いつ持ち堪えられなくなってしまうかも分からないので、一刻も早くトイレに駆け込むつもりでいたのだ。
階段を上ろうとした途端、つい悲鳴を洩らさずにいられない。
すぐにでも用を足さなければいけないのに、思わぬ形で足止めさせられてしまったのだ。
ギュッ。
「芹沢くん、一体どこに行くつもりなのかな……大事なサンプリング業務が残ってるのに、勝手な行動なんて絶対に許さないからな?」
困り果てている本人の様子も構わず、重役は平然と優理奈を呼び止める。
強引に手首を掴んだまま、一気に身体を引き寄せていく。
何してもサンプリング業務を果たしてもらいたかったので、このまま優理奈を放っておくわけにはいかなかった。
「お、お願いですから離してください! このままじゃ、本当に身体が持たなくなっちゃうかもしれないのに……!?」
モゾモゾモゾッ、ヒクヒクヒクッ。
思い掛けない重役の行動に、優理奈は呆気に取られてしまう。
すぐにでもトイレに行くつもりでいたのに、いきなり邪魔させられるなど思いもしなかった。
慌てて文句をぶつけている間も、ついうろたえずにいられない。
どんなに頑張っても、重役の手を少しも振り解けそうになかったのだ。
「そんなに慌てなくても構わんだろう……乗客もだいぶいなくなったみたいだから、ここでオシッコを済ませてしまうんだ!」
もがき続けてばかりいる優理奈を相手に、重役はさらに言葉を続ける。
乗客も階段を上り切ったようなので、この場で排尿させるつもりでいたのだ。
優理奈を強引に取り押さえている間も、忙しなくくねらせている太股に思わず視線を吸い寄せられていく。
「そ、そんな……こんな場所でオシッコなんて、もし見つかったら大騒ぎになっちゃうかもしれないのに……!?」
ワナワナワナッ……
あまりに理不尽な重役の言いつけに、優理奈はますます弱り果ててしまう。
どんなに言いつけられても、まさかホームの物陰で用を足すような真似など決してこなせそうになかった。
慌てて反論している間も、ひとりでに言葉が途切れてしまう。
まともな身動きすら取れそうにない中、下半身がひとりでに震え上がってくるのだ。
「ちゃんと私が見張っておいてあげるから安心したまえ……ほら、さっさと準備しないと間に合わなくなってしまうかもしれんぞ?」
慌てている優理奈を相手に、重役はさらに主張を続ける。
あまり時間を要してしまうと駅員に見つかってしまうはずだと、わざとらしく優理奈を脅かしてきたのだ。
小刻みに膝を震わせている仕草から、下半身の状態が手に取るように伝わってくる。
「お、お願いだから。あまり驚かさないで……くうぅっ!?」
クネクネクネッ、スルスルッ。
着々と窮地に追い込まれるうちに、優理奈はとんでもない行動を引き起こしてしまう。
重役に言われるまま、この場で用を足すことにしたのだ。
恐る恐る下着を下ろしている間も、つい周囲の様子を振り返らずにいられない。
丸出しになった下半身を、いつ誰かに見られてしまうかも分からないのだ。
「あ、あんまり見ないでください……はうぅっ!?」
ゾクゾクゾクッ、プシャアアアァァァ!
その場にしゃがみ込んだ途端、優理奈はすぐに悲鳴を洩らしてしまう。
腰を下ろした拍子に股間が緩んで、膀胱に溜まっていたオシッコが一気に溢れ出してきたのだ。
言い表しようのない気まずさに苛まれるあまり、つい俯かずにいられない。
ずっと我慢し続けていたせいか、生温かい液体が止め処なく飛び出してくるのだ。
チョボチョボチョボッ、ビチャビチャビチャッ。
(やだ、あの人だって傍にいるはずなのに……どんどんオシッコが出てきて、全然止まらなくなっちゃってる!?)
尿意に任せてオシッコを垂れ流している間も、優理奈はすっかり言葉を失ってしまう。
トイレにすら行かせてもらえないまま、寄りにも寄って駅のホームで用を足してしまったのだ……はしたない排尿姿などを人目に晒してしまい、あまりに恥ずかしくてたまらない。
視線を逸らした後も、間近にいる重役の存在をありありと意識させられる。
激しい水音が弾けるたびに、ひとりでに全身が火照ってしまうのだ……
「ほほう、随分と勢いよく出てくるもんだ。よほど我慢していたみたいだな……なかなか見応えのある格好を逃しておくのも勿体ないし、記念に芹沢くんの見事な姿を写真に収めてしまうとするか?」
パシャッ。
目の前でオシッコを垂れ流す優理奈の様子を、重役はじっくりと観察していく。
さらけ出した部分から薄黄色い液体を飛び散らかしながら、周辺に湯気まで立てている様子につい感心せずにいられない。
ついには徹底的な瞬間を記録しようと、携帯まで取り出す始末だった。
「い、嫌っ! こんなみっともない格好なんて、いちいち覗いてこないで……はうぅっ!?」
チョロチョロチョロッ、パタパタパタッ。
いきなり耳元に飛び込んできた機械音に、優理奈は思わず耳を疑ってしまう。
ただでさえ人前で排尿させられて恥ずかしいのに、はしたない格好を撮影させられてしまったのだ。
慌てて文句をぶつけている間も水音を立て続けに撥ね散らかしながら、目の前に突き出されたカメラを少しも避けられそうになかった。
尿意に屈するままオシッコを垂れ流すうちに、しゃがんでいる部分に水溜まりが着々と広がってくる……