体験版 体温上昇
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!?」
フラフラフラッ。
触手に襲われた翌朝、苺香は普段どおりに制服姿に着替えてお家から飛び出していく。
たとえ体内に蟲が潜んでいても、学校を休むわけにはいかなかった。
登校して間もなく、すぐに息を切らしてしまう……ほんの少し動いただけなのに、全身が一気に発熱し始めていたのだ。
通学路の途中に立ち止まったまま、ついうろたえずにいられない。
グシュグシュグシュッ、ジトォッ……
(やだ、一体どうして身体中がこんなに熱くなってきちゃってるの!? まるで、風邪でも引いちゃってるみたい……!)
呼吸を整えている間も、苺香はおかしな事態に気づかされる。
別に暑いわけでもないのに、全身から次々と汗が噴き出してきたのだ。
制服が肌に纏わりついてきて、とにかく気持ち悪くてたまらない……汗を吸い込むうちに、みるみるうちに下着まで透けてくる。
何が原因で異常に汗をかいているのか、どんなに考えても理由を掴めそうになかった……
「も、もうこのままじゃ我慢できそうにないかも……!?」
ヨロヨロヨロッ……
ひたすら歩き続けるうちに、苺香は何とか学校に辿り着くことが出来た。
教室に入った後も、つい戸惑わずにいられない……気づかぬうちに、全身が汗まみれになっていたのだ。
机に寄り掛かったまま、ひとりでに息が弾んでくる。
全身が火照ってきて、意識を保っているのもやっとの状態だった。
スルスルスルッ。
(やだ、裏までこんなに汗びっしょりになっちゃってる。こんなの、もう着けていられそうにないし。さっさと着替えなくっちゃ……?)
教室から飛び出した後、苺香は更衣室へ潜り込む。
熱さで意識が朦朧とし始めたので、せめて下着だけでも脱ぐことにしたのだ。
ブラを引き抜いた途端、つい驚かずにいられない……裏側にしっかり汗が染み込んでいて、まともに着けていられそうになかった。
制服を着直すと、そそくさと教室へ引き返す。
「ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ……んんっ!?」
ジュクジュクジュクッ、ピトッ。
着替えを済ませたばかりなのに、苺香はすぐに落ち着きを失っている。
椅子に座ったまま過ごしているうちに、またしても汗をかき始めていたのだ……汗ばんだ肌に制服の裏地が張りついてきて、とにかく不愉快でたまらない。
忙しなく身を捩らせるうちに、さらなる事態を思い知らされる。
無防備な胸元が、セーラー服の表面からしっかりと浮かび上がっていたのだ。
「……おい、見てみろよ。綾羅木のあの格好!」
「一体どうしたんだよ……うわっ! おっぱいがあんなに透けちゃってるのか!?」
「もしかして、ノーブラのまま学校に来ちゃったのか? みんなのいる前だって言うのに、随分とセクシーな格好なんか見せてくれちゃうもんだよな……?」
とっさに胸元を取り繕っていた矢先、男子達の話し声が耳元に飛び込んでくる。
どうやらノーブラのまま教室で過ごしているのを、彼らに感づかれてしまったらしい。
周囲の男子達に呼び掛けながら、思い思いに胸元を覗き込んでくる……思わぬ拍子に出くわしたはしたない格好から、当分は目を離せそうになかった。
ついには乳房の形を目で追いながら、噂話まで繰り広げてくる。
モゾモゾモゾッ、ヒクヒクヒクッ。
(やだっ! 男子達ってば……ただでさえ汗をかいちゃって大変なんだから、おかしな噂なんてしてこないでよ!?)
男子達から突きつけられた指摘に、苺香はすぐにひるんでしまう。
はしたない格好などを、ここまで簡単に見抜かれてしまうなどさすがに思いもしなかった。
いやらしい視線を何度も意識させられて、つい焦らずにいられない……激しい恥じらいを掻き立てられるうちに、またしても全身が火照ってくる。
尖った部分や乳房の丸みなどを、どうしても取り繕えそうになかったのだ……