体験版 食欲増進
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ……
「やだ、もう空になっちゃったの? まだ時間だって残ってるはずだし、全部飲んでおかなくっちゃ?」
蟲を飲まされた翌日、苺香はおかしな異変に襲われる。
過食症を引き起こしてしまい、少しも食欲を抑えられそうになかった……給食の時間に、なった途端何度もお替わりを続ける始末だった。
周囲の視線を少しも顧みず、次々と給食を平らげていく。
午前中の授業中も、とにかく給食が待ち遠しくてたまらなかった。
(何度もお替わりしてるはずなのに……一体どうして、なかなかお腹が埋まってくれないの?)
ひたすら給食を食べている間も、苺香はひたすら思い悩んでしまう。
何度もお替わりしているはずなのに、少しもお腹が満腹にならなかったのだ。
口を動かしながら、つい困惑せずにいられない。
ここまで食欲旺盛になってしまった理由を、少しも掴めそうになかった……
* * * * * *
「よい、しょっと……ひぃっ!?」
ヒクヒクヒクッ。
お風呂から上がった後、苺香はとんでもない事実に気づかされる。
何気なく鏡を見つめてみると、体型がものの見事に変わり果てていたのだ。
嫌な予感に苛まれるまま恐る恐る体重計に乗ってみた途端、思わず目を疑ってしまう。
考えられない勢いで、体重が増えてしまったのだ。
(どうしよう、こんな急に体重が増えちゃってるなんて……さすがに学校で、給食を食べ過ぎちゃったせいなのかな!?)
目の前に映し出された数字に、苺香は言葉を失ってしまう。
いくら食べ過ぎてしまったとしても、ここまで体重が増加してしまうなど思いもしなかった……体重計に何度乗り直しても、数字が少しも変わりそうになかった。
短時間の間にむっちり膨らんだ体型を、否応なく思い知らされる。
何が原因で太ってしまったのか、とにかく気懸かりでたまらない……