体験版 薫子編 第3話
「あっ、笹倉さん。おはよう……」
「おはよう、まさかこんな朝から会えちゃうなんてね……」
学校へ向かっているうちに、笹倉先輩の姿を見つける。
そっと話し掛けると、一緒に登校することにした。
早めにお家を飛び出しておいて、本当に良かった……こんな早くから登校しているなんて、笹倉先輩も随分と真面目なんだな?
折角だし学校に着くまでの間だけでも、たっぷりお喋りを楽しんでしまおう。
「あんな格好を見られちゃってたなんて。あの時は本当にびっくりしちゃったんだから……きゃんっ!?」
ブワッ……
ひたすらお喋りしているうちに、笹倉先輩はすぐに悲鳴を撒き散らす。
急に強い風が吹いてきて、制服のスカートが一気に捲れ上がってくる……スカートの内側から現れた、真っ白い生地に思わず視線を吸い寄せられる。
どうやら本人も相当恥ずかしがっているみたいで、ずっと腰を押さえ込んでばかりだ。
ほんの一瞬だったけど、笹倉先輩の下着姿が目に焼きついて当分は頭から離れそうになかった。
ギュムッ……
「……も、もうっ! お願いだから、そんないやらしい目で覗いてこないでよぉ!」
慌ててスカートを押さえ込んだ後、笹倉先輩は文句をこぼしてくる。
どうやら、スカートの中身を覗いていたのを知られてしまったらしい。
気づいたら顔を真っ赤にしたまま、早歩きで学校へ向かっていく始末だ……笹倉先輩をどう引き留めればいいのか分からないうちに、段々と距離が離れていく。
どんなに誤魔化そうとしても、まともな言い訳すら思いつきそうになかった。
「ちょ、ちょっと待ってよ笹倉さん。誤解なんだって……!」
笹倉先輩の後ろ姿を、ボクは必死に追い掛ける。
一緒に学校へ行くつもりだったのに、まさかこんな形で計画が台無しになってしまうなんて。
さすがに悪いことをしちゃったのは事実だったけど、ここまで腹を立てなくってもいいはずなのに?
一体どうすれば、笹倉先輩も機嫌を直してくれるんだろうか……