普段通りのクエストのはずだった
ウェンディ達フェアリーテイル数人のパーティーは
近隣の村を荒らしていた盗賊団の盗伐をほぼ完了している段階だった
構成員のほとんどは捕縛し地下に捕らえられていた村人を救出しようとしたその時
アジトを強力な魔力光が包んだ
気が付くと辺りは見覚えの無い荒野
転移魔法によるものであることは明確だったが
どうやらバラバラの場所に転移させられたらしく
周りには自分と・・・・フードを被った怪しい男だけだった
「こ・・ここは・・!?」
「ククク、お前たちは罠にはまったのさ」
「だ、誰ですか!」
「誰でもいいだろう
お前たちを罠にはめた者たちの一人さ
いやはや、都合よくお目当てのメンバーを引き連れてアジトに来てくれた時は
思わず笑っちまいそうだったぜ・・・ククッ・・・」
「っつ・・・みんなはどこですか!大人しくすれば手荒なことはしません!おとなしく・・・」
「クハハハハ!!この期に及んで自分が優位に立っているとでも思っているのか?
おめでたいお嬢さんだ」
グンッ・・・
フードの男が何か魔力を発動したとっさに戦闘態勢を取ろうとするウェンディだったが
体が自由に動かない
「なっ!?これ・・・は・・・!?」
「俺たちは『ボス』に強化魔法を施された魔導士だ
使える魔法の種類は少ないが・・・少々強力だぜ?」
「う・・ああぁっ・・・・!!」
ウェンディの体が宙に浮く
淡い魔力光が体を包み指先一つ動かすことができない
「ぐ・・ううぅ・・・・・・こんな・・・拘束魔法くらい・・・!!!」
ギッ・・・ギッ・・・・
「おっと・・・解かれちゃ困るんだよなぁ・・・・」
バッ・・・ググッ・・・
男が魔力を両手で編み込み、まるで雑巾でも絞るかのような動作を取る
それに合わせウェンディの周りの魔力が連動する
キュイイイイィッ
ギュウウウゥゥッ・・・・!!
「う!?うぐうううぅぅっ!!!!」
ギチ・・・ギチッ・・・・・
男の動作に従うようにウェンディの体がねじれる
引き裂かれるような痛みがウェンディの全身に走る
「う・・・・ぐ・・・・」
「どうだい?苦しいだろう?
俺の拘束魔法、スパイラルウェーブは対象者を拘束するだけじゃなくて
こうやってジワジワと相手の体力を奪っていくのが得意なのさ」
ギッ・・・ギシ・・・・
体をねじ切られそうな魔力の力だったがウェンディもエンチャントを付与して必死の抵抗をしていた
「負けません・・・!こんな・・・・ものにいぃっ!!」
ギギギ・・・ギッ・・・
「おっと・・・・このパワーは予想外だ・・・・ボスにはくれぐれも殺すなと言われていたからな
だが、どうやらもっと出力を上げても大丈夫そうだ」
ニヤリ
男が不気味に笑うとウェンディの体にさらにリング状の魔力光が放たれる
ジジッ!!ギチイイイィィッ!!
「うぐうぅっ!?うあああああぁぁっ!!!」
さらなる拘束力に溜まらず悲鳴を上げるウェンディ
「あ・・・う・・あぁ・・あぐ・・・・・」
ギチギチギチギチ・・・ビキッ・・・ピキッ・・・
「さすがにこれはどうしようもないだろう?
やれやれ、これも耐えられてしまったらどうしようかと思ったぜ
それじゃあ仕上げといこうか」
そう言うと男は魔力のリングを収束し始めた
「う・・・・ああぁっ・・・・くる・・・しぃ・・・・です・・・やめ・・・・て・・・・・」
ギチギチギチギチ・・・・
ウェンディの体が悲鳴を上げる
既に普通の人間なら体がねじ切れていても不思議ではない力でねじられていたが
全魔力を防御に回すことでどうにか耐えている状態だった
そして魔力のリングは収束を完了すると
今度はウェンディの体を牽引し始めた
ギギッ!!ジイイイィィッ・・・・・!
「ふぐうぅっ!?」
ギッツ・・・ギッ・・・・
複数の魔力によって完全に動きを封じられたウェンディはもはや無様にうめき声を上げることしかできなかった
「さて、一度だけ聞こう
素直に従えば優しく運んでやろう
だが断れば・・・・」
「いや・・・・です・・・・!あなたたちみたいな卑怯な人たちに・・・
したがうことは・・・出来ません・・・!」
「やれやれ、強情なお嬢さんだ」
ジッ・・・バチバチバチバチバチバチバチィッ!!!!!!
「うぐあああああああぁぁぁぁっ!!!!!!!」
ウェンディを絡めとる魔力から強力な電撃が流し込まれる
「があああぁぁぁっ!!!ああああああぁぁぁっ!!!!!」
バチバチバチバチバチバチ!!!!
ジジジジ・・・ジジジジッ・・・バチンッ・・・・!
プシュウウウゥゥ・・・・・
「あ・・・・ああぁ・・・・・」
ガクン・・・・
シュウウウゥゥ・・・・・
プシャアアアァァァ・・・・チョロロロロロ・・・・
「強がっていてもこうなってはおしまいだな、無様におもらしかよ
しかし強情な小娘だったぜ
まぁ楽しませてもらったがな、加減が効かずに殺してしまったらどうしようかと思ったぜ
さて・・・優しく運んでやろうっていうお誘いは断られちまったからな
運んでいる間少し俺の遊びに付き合ってもらうとするかね・・・クククククク・・・・・」