私は背が小さい、たとえるなら某錬金術師の豆粒君と同じぐらい。
小柄でカワイイと別の意味でモテたが全然嬉しくない、学校では大体背の順は先頭の常連下。
高校でようやくブラにも入学したが、周りが化粧や大人び始めた中でものすごく浮いて男子にも恋愛対象にもされなかった。

「なんか妹みたい」
これはキツイ、現実の男に愛想を尽かせた私は歴史上の実際存在したイケメン武将にのめり込んだ。
図書館の妖精なんて人はいうけど、騒ぐ奴には容赦もなくもふもふクイックルワイパーハンディ二刀流で締め出し
返すのを忘れた生徒に対し、返しに来るまで永遠と給食時間に校内放送で名前を連呼。

妖精じゃなくて、図書室の悪魔だとか言っているがマナーを守らない奴にそんな二つ名つけられたくない。
でも今は電子書籍が主流になりつつあったりして、紙媒体は廃れつつある。
それでも私は図書室に一人でもいる、図書館があるでしょというけど駅近くの図書館は混んでて嫌だ。

テーブル席なんてスタバ並みに混んでて座れた試しがない。
勉強するな学生共、眠るな高齢者、こんなのばかり見ていて私のオアシスは図書室だけだった。

カウンターにいながら、ページの一部が取れてしまっ た本の修復を始めた。
もう絶版されて、手に入りにくいが驚いたことに出版されたのは私が生まれる前で大事に読まれているからか
セロハンやのりで何度も修理をして大切に使っている。


私の青春は本に捧げて終わりを迎えた、低身長でも良いという男もいたけど
結局ヒールの似合う、おっぱいの大きい女に乗り換えた・・・えーと呪い殺す本はどこだったかなー。



「貴方、歴史を守るお仕事に興味はありませんか?」
「・・・・は?」

文系大学の一つに見学に行った時、黒スーツのいかにも怪しい男に声をかけられた。
逃げようとしたが小さな足幅では逃げられない、相手は決して怪しい者ではありません!!とかほざいているけど私の肩を強く掴んでいる時点でアウトだよ!

しかし、此処は人目も多い。
こんなところで声をかけたが運の尽き。

ポケットに素早く手を入れると。


「ふんっ!!」
ピンを気合を入れて抜くとけたたましい音で鳴り響くは警報ブザー。
何事かと多くの人が集まってくると、ブザー音にびっくりした男から逃げると。



「痴漢ーーーーー!!誰か警察を呼んでくださーーーーーい!!」
「ちょっ!!」
「おい!!小さい女の子に男が迫ってるぞ!!」


この世の男共は自分よりも弱い女で、しかも小柄な私は良く狙われる。
外見は弱々しいか中身は侮るな、利用できるものはなんでも使う腹黒上等!!!


「わっ・・私は政府関係の!」
「この男の人、私に突然っ・・身体を触ってきてっ・・・!!」
「えっ!あのっ・・確かに触りましたけどっ・・!!」
「警察に電話しろ!!」
「捕まえろ!!」




黒スーツ、哀れ警察に取り押さえられパトカーに連行。
ざまぁみろ!!・・・と思ったが、その日の夕方に私の家にその日のうちに現れた。

両親は私を目に入れても痛くないほどに超溺愛、黒スーツを速攻で追い出そうとしたが
名刺と身分証を見て男の言っていたことが嘘ではないのだとわかると仕方ないので話を聞いてやることにした。

「つまり、その審神者とかいうものになって歴史修正主義者とかいうテロリストと戦えと」
「いいえ・・確かに戦いますそれは貴方が顕現した刀剣の付喪神様にお任せいたします」
刀の神様、正しくは分霊様を呼び出して人の代わりに戦ってくれる。
図書室の天使と呼ばれた私は、大体の刀剣の名前は知識として脳内に存在していたがこれが人の姿にと言われると想像材料が足りない。

「しかし・・本丸というところで住み込みで働くというのは・・」
「そうですよ、危険ですよ」

はい、危険です。
御宅の娘さんが、ですよ。

「顕現できる力を持っている時点で、歴史修正主義者などに狙われる可能性があります。
それだけ審神者になれる資質を持つ人間は希少なのです」
男は偶然大学に来ていて、私に資質があると見抜いたとか。
一般家庭出というは本当に珍しいらしく、大体は良いとこの血筋から出てくるとか・・偏ってるなー。

「貴方はどう?審神者、なりたいの?」
審神者は公務員のようなものではあるが、私は文系の大学に行きたかった。
でも審神者になれば本丸に住み込みとなり、家にはあまり帰れない多忙な日々。



「でも・・私・・歴史を守りたい」
歴史修正主義者と呼ばれる奴らも、変えたい歴史というのはあるが起きてしまったことをあとから修正するなんて許せない。
こんな理由で私は審神者になる道を選んだ。











数十人のグループとなって、審神者に必要な基礎知識を半年かけて学んでいった。
本当はもっと時間を掛けるべきなんだけど、実戦で学べ!!というか最近新たな勢力が出てきて戦況が危ういらしい。

急ぎ足卒業をし、選んだ初期刀は文系の歌仙兼定。
雅を愛する刀剣男士らしいけど、一体どんな刀剣男士だろうとわくわくしながら手を翳すも。





「・・・・あれ?歌仙さーーーんもしもしーーーーー」
「審神者様・・・呼び出し方がおかしいですよ。・・・・おかしいですね」



後方で見守っていた政府役人の一人が首を傾げる。
刀剣に異常はない、しかし顕現できない。

「もしかして・・審神者としての才能がないんじゃ」
「いえいえ、そのような・・・そうだ!!本丸で試してみませんか?」

切り替えるようにして私はこんのすけというマスコットと共に、本丸へ。
荷物はすでに部屋に届いて、部屋に置かれている・・初期カスタマイズはちょっと大きめな古めの平屋建て一軒家。
戦績次第で拡張可能だとか。

鍛刀所には妖精さんが待機してくれていて、鍛刀札を渡して資材数を伝える。

「まず、資材はオール50で」

頷くと、鍛刀所の炎が強くうねったように見えた。
完成まで20分、その間に本丸内を探索をし一般人ならば本丸は機能せず入ることもできない。

「心配しなくても、貴方様には審神者としてのお力は備わっていますよ」
「・・・う・・・ぅん・・」
こんのすけはそういうけど、初期刀を顕現できなかったのは不安要素だ。
念のためにと、初期刀は持ち帰って調べているらしいけどこんなことは初めてて職員も混乱していた。

「あっ、そろそろ終わってるみたいですよ」
00:00と数字が表示され、小さな小刀・・短刀が鞘に収まった状態で目の前に差し出された。
霊力があるかわからないけど、唸るようにして無事に顕現できますようにと唸って念を送ると桜の花びらの嵐が吹き荒れる。






「ぼくはいまのつるぎ、よしつねこうのまもりがたななんですよ。すごいでしょう!!」







平安の絵巻物に出てきそうな姿をした、私よりも小さな少年が現れた。
無事に顕現できた!!あまりの嬉しさに今剣の両手を掴んでうふふふ、あははははと連続回転。

「そんなによろこんでもらってぼくもうれしいです」
「私もだよーーー、これで審神者力はあるって証明できた!!よーーし、ガンガン刀作っちゃうぞ!!」







私は浮かれてたけど、私の審神者としての欠点。
コモン、つまりありふれた刀剣




しかも短刀のみしか顕現もドロップもできない










超底辺どん底審神者だったということが。