-数時間後-

「ねぇ、起きて。話そうよ」
 ん。
「暇だよ、お話しよーよ」
 誰の声だ。
「あなたの妻ののーたんだよ」
 俺に妻。夢か。
「違うよ。昨日結婚したよっ」
 昨日。何かあったっけ。
「忘れちゃったの」
 ん。ああっ、忘れるわけないじゃない。
「やっと、起きた。もう外は晴れておるぞ」
 確かに光が差し込んできている。
「外に出てみるのじゃ」
 そうだね。それじゃあ行ってみようか。
「わーい」
 陽の光に当たると身体が喜んでいるのがわかる。お日様は偉大だ。
「気持ちーのじゃ」
 昨日は本当に大変な一日だったね。
「我がいないと死んでおったの」
 確かに。有害物質に汚染されるわ、魔物はいるわで今考えると生きているのが不思議なくらいだ。
「誰のおかげ、ねぇ、それって誰のおかげ」
 ん、のーたんのおかげだね。ありがとう。流石だよ。のーたんのおかげで生きてる。
「うむ。そうなのじゃ」
 のーたんと結婚できて幸せ。
「我も嬉しいぞ」
 魔物って食べられるの。
「美味しくないぞ」
 ってことは食べられるのか。
「魔物によるの」
 食べたことはあるの。
「あるにはあるのじゃ」
 食べるという機能はあるんだ。
「それはもちろんだの」
 食べないと死ぬの。
「我は死なない」
 不死身なの。
「まぁ、そうじゃな」
 ずっと生きるってどんな感じ。
「仲良くなったものと別れるのは辛いの」
 そうだよね。
「そうじゃな」
 ごめん、なんだか変な空気になっちゃったね。
「気にするでない」
 楽しい話をしようか。
「うむ」
 自分と一緒に何がしたい。
「美味しいもを食べたり、綺麗な景色を眺めたりしたいの」
 いいね。
「そっか、だから旅に出たいって言ってたのね」
 そうじゃな。

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